オフセット印刷

オフセット印刷の版は、とても薄いアルミの1枚の板です。厚みは0.3mm。

たった0.3mmで如何にしてインキの着く部分と着かない部分に分ける事が

出来るかと云うと、水と油が反発する原理を使って版の上に親水部と新油部

を作り絵柄を創っています。オフセット印刷機の構造は、版胴、ブランケッ

ト胴、圧胴の三胴を基本に版胴にてインキと水で印刷画を作り、それを一旦

ブランケットに転写します。ブランケットはゴムで出来ているのでそれが判

子となり紙に転写されます。紙と版が直接触れ無い為、版が傷む事が無いの

で大部数の印刷が可能です。しかし一方、刷版上のインキの盛れる量が少な

いのでスクリーン印刷やグラビア印刷に比べると濃く鮮やかな仕上がりとは

行きません。

オフセット印刷の版は凸凹が少ない分、高精細な網点を創りだす事が出来ま

すが水とインキの繊細なコントロールも必要とします。三つの胴とインキ部

と水部でワンユニットとなり一色の印刷が出来ます。カラーの場合はプロセ

ス4色なので4ユニット。カラー4色プラス特色1色で5色機や用紙の表裏

をワンパスで印刷できる8色機などが有ります。片面カラー4色プラス、補

色2色の6色機でプロセスカラー4色以上の広演色再現性を目指す印刷方法

を取り入れている印刷会社もあります。こちらは6色機でないと出来ないや

り方です。

オフセット印刷機の基本構造は、上記の通りですが、印刷する部数によって

枚葉印刷機とロール紙で紙を供給する輪転印刷機が有ります。大量な枚数を

印刷する場合輪転の方が圧倒的に速いです。価格も安くなります。枚葉印刷

機が1時間当たり、13000枚から18000枚刷れるのに対して、輪転印刷機は、

10万部から20万部刷れます。ロールで繋がっているので単位が少し違い

ますが一応48ページの新聞の部数の単位となっています。

インキと水の関係から速乾印刷を謳うCTPメーカーも有ります。オフセット

印刷は水とインキのバランスで印刷しています。両方のバランスが取れてい

ないと印刷できませんし、正しい色になりません。水が多いとインキも多く

なります。印刷オペレーターにとって楽なのは、水を少し大目に出しておい

てインキの量で調整して印刷する事。保水性の有る版でしたらインキ量のコ

ントロールだけで目指す色味に合わせられるので作業としては楽です。しか

し水が多い分インキも多いので刷了後の乾燥に時間が掛かります。そこで水

を極限まで絞って印刷する方法。例えば保水力のない版を使うと適性に印刷

出来るゾーンが非常に狭くなります。水が少ない分インキも少なくて済み、

尚且つ正確にデータ通りの印刷になります。これが所謂速乾印刷と云う方法

です。印刷している時は、連続して毎秒で何枚も印刷しますので乾いていな

い状態で重なると裏写りの原因になりますが、速乾印刷ではギリギリまでパ

ウダーの量を減らせると云います。パウダーはデンプン質で出来たミクロ状

の粒子です。此れを紙と紙の間に撒いて隙間を作ります。油性印刷では一般

的なブロッキングを防ぐ方法です。インキの中に予めその様な役割の粒子を

混ぜ込んでいるインキメーカーも有ります。

UVインキを使う印刷方法と云うのは、最近多く普及し始めている印刷方法で

す。UVインキは紫外線で硬化する成分が入ったインキです。4色印刷して最

後の排紙部の手前で紫外線を当てると瞬時に固まりますので、その後断裁や

製本にすぐ掛かれるのが特徴です。マット紙やOKアドニスラフやB7トラネク

スト等のラフ書籍用紙など人気の用紙、インキ濃度のとても高いカラー画像

でも無理なく印刷できます。印刷素材も幅広くフィルム、ユポ、ペット等、

油性インキが出来なかった素材でも問題なく印刷できます。