本フランス装
グーテンベルクが活版印刷機を発明して広く書籍が社会に行きわたるように
なりましたがそれでも本と云うのは貴族など特権階級の所有物に限られ普通
の人たちが手にする事は、中々敵わない時代がずっと続きました。印刷会社
では本文のみを印刷して、それを8ページ折りにしたり16ページ折にした
りして順番を揃え見返しを付け小口は断裁しないで型抜きした表紙を付けた
状態で売っていました。お金がある貴族たちは、お抱えの装幀師が宗家オリ
ジナルの装幀をしたり、本に合わせたデザインをしたりしてハードカバーに
仕上げていました。本フランス装と云うのは自分自身で各々製本をする仮の
形で販売する製本方法です。勿論、内容を重視する読者は小口をカットする
だけで読み進める人もいる訳で、本文化の歴史の中で長く重用されていた製
本方法でその伝統に惹かれて支持する読書家の方は沢山お出でです。本フラ
ンス装は、ビク抜きや手折り等ほとんど機械化することが出来ない作業で士
上げるのでコストも時間も掛かります。しかしだからこそ、判る人には判る
特別な製本方です。表紙の折り返しに糊は入らないので強度には少々難があ
ります。折り返しの中に見返しが入るだけなので、表紙と本文は、一体とな
ってない状態です。