印刷機を廻す
印刷機は回転します。円筒形の大きな筒の組み合わせは、紙を運びます。
小さなゴムローラーの組み合わせは、インキや水を運びます。一胴でイン
キローラーは15本ぐらいあります。水ローラーは3本あります。4胴あ
ったら60本と12本ですから72本です。これに版胴とブランケット胴
と圧胴と紙送り胴の4つがワンセットでこれも4胴あれば×4倍です。オ
フセット印刷機と云うのは、殆んど円筒形の集合体なのです。この円筒形
が一時間で2万回転します。イニュニックのは印刷機はそこまで速く無く
て1万5千回転と1万3千回転。それでも1秒で4回転しますので結構な
速さです。一つ一つじっと見ると目が廻ります。見ているようで見続けて
はいないのです。それでも音を聞きながらそばで立っていると身体が機械
と同調し始めます。同調はするけどそのスピードは、人間の間隔を越えて
いるので今度は、頭が拒否反応をします。頭が機械の中に飛び込んでしま
えと囁き始める。ずっと囁かれ続けると催眠術の様に本当にやってしまい
そうになります。一人で2台、3台印刷機を廻していたことが在って、疲
れてくると人間ってこうなるんだなともう一人の自分が少し高いところから
見下ろしていました。ちょっと怖い印刷職人の現場でした。