黒い紙の印刷(その1)
黒い紙に印刷するのは、少し難しい何点かのハードルがあります。印刷機には2枚差し検知器と用紙感知システム云うのが有ります。これは印刷機が用紙の枚数を見ていて紙が正しく入ったかどうかを光で見ています。2枚差し検知は、光検知と機械式検知が有るので、黒い紙の場合は機械式検知だけで、2枚同時に紙が入らないかチェックすることが出来ますが、用紙感知システムの方は、光感知式ですので、黒い紙の場合はそこの部分のスイッチを切って終わなければ、胴が入りません。黒い紙は光に反応しないからです。胴が入るというのは印刷の圧が掛かるという事です。新しい機械の場合は、いろんな用紙に対して応用が利くように設計されていますが、中途半端に古い機械の場合、あれが駄目、これが駄目と出来ない制約が多くあります。黒い紙もそのような用紙の一つです。製本の丁合機なども一枚一枚を光で見ているので製本所によっては、丁合が取れないという場合もあります。先ずは機械的なハードルが一つ。次に印刷の問題です。印刷は基本的に白い紙に黒いインキやカラーのインキで文字や画像を印刷して視覚的な読みやすさを追求します。黒い紙に黒で文字を刷っても読めないし、カラーで画像を刷ってもはっきりとは像を結びません。基礎的な視覚表現、視覚認知の真逆にあるのが黒い紙なのです。それでも、それを理解した上で黒い用紙を使ってデザイン表現をすることの面白さはあります。
黒い紙に印刷する場合の制限がある程度ありますので、ファンシー紙の全てに黒が常備されているかと云うとそうでもありません。NTラシャ黒、スーパーコントラストスーパーブラック、NTラシャ漆黒、LKカラー黒、プライクブラック、ディープマットブラック、等々。質感が有って一番黒いと云えばNTラシャ漆黒。さて黒い紙に印刷する方法として、ごく一般的にあげられるのが、白インキ、箔押し、シルク印刷、バーコ印刷、ニス印刷。(黒い紙の印刷2に続きます。)