本の製造原価と販売手数料
製造と販売と売値についてよく質問されるので、私の知る限りの物の
値段に付いて書いておきます。別注誂えや特殊な物(クスリ等は足元
と関係します)を省いて商品と云われる物の製造原価は、売値の6割が
相場です。あとの4割が販売原価と流通、保管金額となります。百貨店は
販売マージンを35%取ります。書店は30%から20%です。ちなみに
ネット関係はアマゾンが40%、楽天が30%、ZOZOも30%、スト
アーズが5%以下、ベイスは良く知らないのですが多分ストアーズより安
いようです。ストアーズの取扱量がアマゾンの10%位まで来ているよう
ですが、まだまだ伸びると思います。しかしストアーズの販売手数料が少
し上がり始めているとの情報もあります。安売りのスーパーは、この販売
手数料を削って売っています。ところで、イオンの販売員はスマフォで常
に商品の動向をチェックしています。何かの商品が全国的に売れ始めると
一斉に店頭に出します。テレビかネットで紹介された商品です。客の動向
を注意深く調べていると云えばある回転ずしの事。ネタは抜群に美味しい
のです。しかしシャリが行けません。「なんだこれ、昨日の余ったシャリ
じゃないの」と行ったところ、次からホンワリ温かい出来立ての鮨が出て
来ました。なるほど、聴いてる。しかし客の反応を知るのは至極当然の話
です。大きく脱線しました。本の製造原価と云われるのは売値の3割です。
しかしこれは所謂今までの形であり本が売れない時代に措いてはこの割合が
崩れ始めています。本の製造原価が3割、本の企画編集、デザイン、宣伝が
3割、販売が3割、流通取次保管が1割でしょうか?作者に払う著作料が8
%から10%。写真集の場合は、出版社に制作代を何百万円かを支払い、完
成した本を百冊か二百冊貰ってそれを自分で売ります。だから写真集の自費
出版が増えています。出版社の仕事では無くなり始めているのです。ところ
で名前がメディアになってしまった様な春樹は出版社に交渉して25%から
30%の著作料を取ります。だから、新聞やメディアは大事件の様に本の出
版を取り上げるのです。何十万部か売れないと赤字になるからです。
本の販売においても6次産業化は進んでいます。全部3次産業ですから正確
には9次産業化ですね。ここで肝は作家が編集の仕事をどれだけ賄う事が出
来るか?作品とは、時代が要請するものです。その要請をいち早く掴み、類
稀な物に仕上げる力量、9次産業化の要点はやはりそこにしか在りえず、売
値を越える事が出来る作品こそが製造原価や販売手数料を意味の無いモノに
します。