エアラス
特種東海製紙株式会社。「エアラス」パンフレットに書いてある意気込みが凄いのです。 「私たちが目指したのは、『人間の記憶に残る紙』でした。そして生まれたのが、エアラスです。 この紙は、空気(air)が私たち(us)に、『嵩高』と『緻密な美しさ』という紙の新しい価値をもたらしました。 2015年は、人類史上2度目の紙の発明の年として記憶されるかもしれません。」 最初の発明パピルスの2番目という位置づけです。大きく出ました、エアラス。
テクスチャーは、しっとりと滑らかでありながら嵩高微塗工紙の質感もしっかり持っております。 エアと言うだけ、紙の繊維の中に空気をからませ、ふんわり原紙を作り、表面に塗工する際、フワッと優しく乗せるように塗工剤を吹き付けます。 これによってまるで塗工をしていないかの様な滑らかさを生むのです。 ヴァンヌーボやMr.Bなどと比較してもやわらかさ、軽さ、滑らかさは、エアラスが群を抜いております。 手に持った感じは、さほど厚くは感じません。マイクロで計ると1割近く厚みは増しています。 中に空気を含んだ軽さが、厚さを感じさせない柔らかさを生んでいるのだと思います。
次に印刷の美しさですが、b7トラネクストや、OKピクシードに匹敵するか、凌駕するほどの緻密さを実現しております。 エアラスの競合用紙は、ヴァンヌーボ、Mr.B、サンシオン、アヴィオン、OKミューズガリバーとなりますが、 これらの用紙の中では、一番の嵩高さ、強い発色性と印刷光沢が特長です。 CMYK360%のベタ面で75°-75°の光沢度を実現した相反する嵩高と印刷光沢を両立した用紙です。
ここまで、エアラスの特長を知ると、成程、第二の発明と言われれば、うっかり肯定してしまいそうです。 金額はヴァンヌーボより一割ぐらい安いですが、一般の嵩高用紙と較べれば2.5倍ぐらいしますので、 おいそれとチラシレベルで使える用紙では、ありません。 やはり、写真集の本文用紙でしょうか?大体今までの大御所の写真集は、基本、サテン金藤などのA1マット・ダル用紙です。 しかし、それはフィルム撮影、アナログ製版、アナログオフセット印刷の時代の技術からの要請でした。 現代は、撮影は、いずれかにしろ、製版・印刷は、ディジタル印刷です。フィルム撮影にあった影の厚み、奥行き。 ディジタル技術で補いきれないすきまを嵩高と言う用紙でカバーするというのが、現代流の印刷かもしれません。
空気の様に柔らかく、印刷表現の最高レベルまでつきつめたのがエアラス。写真集。記念誌。高級パンフレット用紙等で。