活版印刷 名刺

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人と人とが簡単に繋がれる時代に在ってそれでも名刺は無くてはならない

大切なビジネスツールです。SNSで連絡を取り合うのは、同好の士、共感の

士であって、ビジネスの現場に結び付くには、中々ハードルが高くなります。

その様な関係の中にお金が絡む話題は、多分に御法度と云う部分があるから

です。また、ビジネスモデルが昔は協同他社の間でのニュービジネスの構築

と云う展開が多かったですが、今のニュービジネスは如何に他業種との協働

が果たせるかと云う部分に掛かっています。あらゆるものが繋がれるという

現状の中では、当たり前のモノが繋がってもビジネス足り得ない処まで来て

います。そうするとやはり名刺と云うツールが無いと自己紹介にならない。

最低限の名前と携帯番号とメールアドレスとURL。これだけあれば全ての自

分を営業できます。名刺はカラーでもモノクロでもオンデマンド印刷で簡単

に安く出来るようになりました。それでも、5年ぐらい前まではオフセット

の台紙に名前だけ刷りこむという線を死守する拘りの会社も見かけましたが

今は、ロゴカラーの色味もあっさりオンデマンドカラーに明け渡し、さほど

拘らないようになったと思います。全てグローバリズムの賜物です。会社の

独自性云々を云うよりビジネスの独自性を持ち得なくなり始めているからだ

と思います。企業間の合併、吸収が頻発になってくるとコーポレイトアイデ

ィンティも自ずと緩んで来る。今は解体途中の束の間に現われている名刺の

二束三文。印刷業に携わる者として悲しくなるぐらいの凋落です。

デザイナーの方々の皆さんの名刺が全て活版名刺なのは、そういう時代に対

する反発です。一国一城、センスと哲学だけでデザインの世界を泳ぎ続ける

時代の表現者たちは、いくらそれが時代の波だと云ってもおいそれと飲み込

まれる訳には行きません。代わりの効かないツールでないと商売になりませ

ん。名刺の活版印刷は、テキンも有りますがやはりプラテン機がカッコイイ。

活版活字と銅版とどっちが良いかと云うとそれは、もう活版活字です。書体

の制限が在るのは致し方ないのですが、植字と云う技術に活版印刷の価値の

70%が在るからです。機械は残りますが技術は消えてしまいます。