糸かがり機
糸かがり機の国内メーカーに「ISHIDA」が在りました。石田製作所、
糸かがりの機械を造っていた専門メーカーです。残念な事に13年前に廃
業しました。それ以来糸かがり機の国内メーカーは在りません。スイスの
ミューラー・マルティニと云う製本メーカーが糸かがり機を造っています。
外国の写真集などで糸かがりを見ると糸と糸の間隔が等間隔です。糸のか
がっている処が19ミリで空きが19ミリで38ピッチになっています。
石田の国産機は通常52ミリピッチです。糸と糸の空きが広くなっています。
今回、イニュニックが導入した糸かがり機は石田製作所の中古機ですが別製
品で40ピッチなのです。20ミリ、20ミリ。主に小さな手帳用に造られ
たようです。コデックス装は糸かがりの背中をむき出しにして糊固めするの
で糸の状態も重要な要素です。ミューラーの機械に近いと云う事で導入を決
めました。
コデックス装が多くなって来ていると云うのが導入の理由ですがPUR製本
に対する不満も少しあります。思いっきり開く様にすると本の構造が弱くな
ります。部数が増えて来たときにもし万が一、本が落丁するようなことが在
ると大変な問題になります。
糸かがりで並製本と云う、最近では殆んど見かけなくなった仕様をもう一度
復活させようと云うのが今回の導入の大きな動機です。中綴じ、無線綴じ、
上製本、コデックス装、色々な形状が在りますが本を読むときに一番大切な
肝心要の処と云うのは、良く開いてストレスなく本の世界に没入できる事だ
ろうと考えます。表紙を脇糊だけで接着させるとフォローバックで非常に開
く本が出来上がると考えます。外から見るとただの並製ですが本を開くと8ペ
ージごとに糸でかがってある。そこでカラー糸などを使うとお洒落なアクセ
ントになります。