出来る事、出来ない事
大きい印刷会社、小さな印刷会社、印刷機械を持っていない印刷会社等、一般に印刷会社と云っても色々有ります。印刷機メーカー、インキメーカー、版の種類によっていろんなタイプの印刷屋さんが出来上がります。実は中華とイタリアン位の違いがあるのですが、表向きにはそんなことおくびにも出さず、平気な顔して「何でもできますよ。」と云う体裁を取っています。印刷機の大きさや何胴あるかなどで、得意とする印刷は違うのです。それぞれの印刷会社の得意とするモノを発注したほうが上手くできるし、安く出来ます。名刺と写真集は、違います。あらゆるものが違います。逆に出来る事を制限してくる場合もあります。たとえば、金で印刷したいけど、大日精化工業の「LR輝」で刷ってほしいという要望も「うちは女神の金しか無いです。」と云って他のメーカーのインキが使えない様な事も有ります。この理由は、まず使ったことが無いインキは、その特徴が判らないために、印刷機との相性が判らない。刷った後の時間変化が判らない。金で刷った効果がどの様な物に為るかが判らない。女神の金が無駄になる。等色々な事由で使えないと云われることになります。印刷の職人にしても製本の職人にしても、職人は常に経験値を金額に置き換えて商売しております。つまり経験した事が無い物は売れないのです。中華屋さんにイタリアンのレシピを教えて料理を作ってほしいと云っても、中華屋さんは作れません。それは料理人のプライドが許さないのと経験値が無い為です。それぞれ印刷会社は、固定客に合わせた大きさの印刷機と多色機を持って商売しております。印刷会社は、なるべく同じところを使った方が、お互いの傾向を知ることが出来ますし、それぞれのアプローチの深度が深まります。懇意になれば新しいアイデアや目新しい技術なども優先的に知ることが出来ます。印刷はプリンターでは有りません。人を介する技術の伝承です。