AIが校閲・校正する時代に

さまざまな分野でAI(人工知能)の活用が期待される昨今、印刷業界でも具体的なAI活用

システムが登場しています。凸版印刷が、業界や企業特有の表記や専門用語を学習し、

企業ごとの基準に合わせて文章の校閲・校正を行う「AI校閲・校正支援システム」を開発し、

全国の銀行や生損保会社など金融業界向けのサービスとして提供し始めました。

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凸版印刷が多種多様な印刷物やデジタル媒体の制作を通じて、これまで培ってきた校閲・校正

ノウハウを元に開発し、実証実験の成果を踏まえて改良を加え、商品化に至ったシステムに

なります。AIを活用した自動チェック機能により、「正しい日本語」のチェックだけでなく、

専門用語などの間違いはもちろん、制作上のレギュレーション(規制)違反までも検出する

ことで、校閲・校正に関する負荷削減と、ヒューマンエラー防止に貢献するとしています。


価格は初期費用が500万円、月額料金が50万円。20年度までに20社に導入し、22年度までに

関連受注を含めて累計100億円の売上を目指す模様です。なかなか高額ですが、校正者2人分

ほどの人件費に相当する料金を支払っても、大部数の出版物に誤記が見つかり再印刷するコスト

に比べると、保険として妥当な金額だと判断する企業もあるのでしょう。リスク回避のメリットが

強いのかも知れません。


校閲・校正のみならず、AIとテキストデータの親和性はすこぶる良いので、むしろAIにこそやらせ

た方がいい仕事だと思われます。金融業界だけでなく、医薬品(薬機法関連)や不動産業界などで、

間違えてはいけない文章を大量にあつかう現場で導入すれば、制作会社や広告代理店の生産性は

大幅に上がりそうです。ニーズが高く、社会貢献度も大きいサービスなのは間違いありません。

しかし値段がネックに...。


こうした革新的な技術に触れるたびに、Googleあたりが無料でサービス展開してくれないものかと

思うのは筆者だけではないはず。凸版印刷が強気なのは、小さいと言われる日本語マーケットには

「GAFA(ガーファ)」などIT企業からの参入可能性が低いと考えているようです。


とはいえ普及させるためには思い切って価格を下げて、さまざまな業種の企業に使ってもらった方が

ディープラーニングによるビッグデータの蓄積と分析もはかどり、さらに性能の改善と競争力が高まる

ことで、最終的に売上アップにつながるのではないでしょうか。