ポリオレフィン糊(PO糊) 無線綴じ

イニュニックの無線綴じ製本は、EVA糊、PUR糊の2種類でした。先月より

EVA糊をやめてすべてPO糊に変更しました。EVA,PO,PURはすべて無線綴じ製本で

使用される接着剤の種類です。糊の強度に比例してページの開きが良くなります。

一番本が開かないのがEVA糊で次がPO糊、そして化学糊の中で一番強くて柔らか

いのがPUR糊です。糊を使わないで開く本として人気があるのが糸かがりです。

折丁ごとに糸でかがりますのでよく開くし強い本が出来ます。糊の強さと固さは

それぞれですが、問題は固まる時間が違います。EVA糊が約2分、PO糊が約30分、

PUR糊が4時間かかります。この糊が乾く時間の違いによって製本会社が扱う部数

数量が変わってきます。一般に大手大量出版系の製本会社は、1時間に5000冊の

本を造っていますので糊の乾きに追いつきません。製本ラインで本を造っている為、

乾かない状態で3方断裁できないのです。ですから大手製本会社の並製本はすべて

EVA糊です。PUR製本をしてくれる大手製本業者さんは、非常に数が限られます。

PO糊はPUR糊よりもう少し早く乾きます。ラインのスピードを相当遅くして熟して

いるところもあるようですが、やはり少ないようです。イニュニックのバインダ

ー機はそれほど早い機械ではないのでPUR糊の製本でも行っていますが3千冊以上

となりますと1日に窯を何回も変えたり(4時間かかって空気中の水分を吸収しな

がら固まっていくので釜の中の糊も固まります。)何日もかかります。PUR製本が

高いのは糊が高価な為と時間が大幅にかかる為です。PO糊は、EVA糊とPUR糊のち

ょうど中間ぐらいです。開きは少し強めに糊を厚くしたPUR製本の感じです。EVA

糊と同じように釜に入れっぱなしで使えるのでPUR糊より経済的です。先日、400

ページぐらいのタブロの紙で束見本を造りました。ラフ書籍の嵩高はページ数の

厚いものは時間をかけて紙の中に沁み込んでいきます。糊による本文の収縮で背中

に皺が入りました。紙との相性、糊との相性など様々ですが、PO糊は、開き具合、

強度、なかなか優れもののような気がします。ただ普通に無線綴じ(糊はPO糊)と

しておきます。EVA糊とPUR糊は製本段階で少し環境に良くないものが漏れ出します。

少し気になっていました。PO糊に関しましては環境には良いようです。環境先進国

ドイツ製です。