金赤

金赤と赤金は違います。金赤はインキの色。赤金は金インキの色の種類で、

赤金と青金があります。金赤は、ある一つの色を特定して決まっている色

ではありません。プロセスカラーでは、マゼンタ100%+イエロー100%を金

赤という場合がありますが、現場の感覚から云うと少し赤が強すぎます。

DICの特色インキでFG28金赤と云うのが、割と一般に認識されている色です

が、この色も各インキメーカーが売っている一つのインキにすぎず、メー

カーごとに微妙に色が違います。板橋では地元のメーカーのせいか、T&K

TOKAのベストワン金赤が、赤の顔料が強く鮮やかさが頭抜けていて人気の

色です。最近は、一色二色の特色刷りが流行らなくなり、金赤という色の

実体が消え始めている感も否めません。最近、カラー世代のデザイナーと

金赤についてのお話があり、思いたって書き連ねています。DICナンバー

で言うと、DIC156、DIC565を金赤と云います。DIC565は、FG28金赤の事。

プロセスで作る場合は、M90%+Y100%が、特色の金赤に近いです。チラシ

印刷の特色と云えば、金赤でした。あざやかな金赤は、強い喚起力が有、

血が騒ぎ出す感じは否が応でも購買欲を掻き立てます。しかし今は遠い

昔です。さて金赤のイメージですが、デザイン会社と印刷会社では、金

赤のイメージが違います。違いますと云うより、明確な金赤のイメージが、

あるかと云えば、随分曖昧なのです。たとえば、DICには、FG27金赤、FG28

金赤、FG29金赤と三種類の特色インキがあり、それぞれ微妙に色合いが違い

ますが、金赤と云われてみると成程金赤です。そのように、東洋インキは

4種類の金赤の特色インキが有、T&K TOKAも4種類の金赤があります。気を

つけなくてはいけないのが、唯金赤として発注する事です。明確に具体的な

色チップをつけるか、メーカー名で、発注する事が重要です。同じような事

は、金、銀、黒、蛍光色でも云えます。概念上の言葉の色は、各メーカーが、

出している具体的なインキについての総称にすぎず、やはり少しずつメーカ

ー毎の違いがあります。またそれを選択する印刷会社の感性、慣習もありま

す。プロセスカラーは、パーセントであらゆる色が指定できますが、特色の

場合では、DICナンバー、パントーンナンバーの他で、意外と失敗しやすい

単純な落し穴です。