紙の表面塗工

紙の表面には大きく分けて3種類の処理が施されています。先ず非塗工紙。

これは、紙の表面にコート剤を塗布していないモノ。上質紙、書籍用紙、

ラフ書籍用紙(嵩高紙)色上質紙、再生上質、中質紙。それから一概には

言えませんがファンシー系と云われる特殊用紙。レザックや里紙、マーメ

イド、アラベール等。これらの用紙は、主に墨1色で刷る印刷物、文字もの

で使う場合が多いので表面にコート剤を塗布しません。このコート剤と云

うモノがどの様な役割をするのかと云いますと石灰の粉の様な物を塗布す

る事によって油の染み込みを停める働きをします。インキの油が紙に染み

込まないでコート剤の上で乾きますのでインキの発色が良くなります。ま

たコート剤によって紙の平滑度が向上します。この平滑度の向上も印刷仕

上がりの緻密さに寄与します。塗工紙と云われる、アート紙、コート紙、

ダルアート紙などが美術系の印刷物によく使われるのは其の為です。あと

もう一つ微塗工紙と云う範疇が在ります。現在人気のb7トラネクストは

微塗工ラフ書籍になります。紙らしいテクスチャーと発色の良さを兼ね備

えた、これらb7シリーズ、王子さんではピクシードシリーズ、北越さん

ではHSシリーズ等が微塗工ラフ書籍に入ります。一般紙の塗工表記は割

と明確です。仕上がりに大きく違いが出ますので。しかしファンシー紙の

塗工表記は曖昧です。全体のイメージとしては、非塗工と云うのが一般的

な認識ですが、それだけに留まらない何か微細な表面加工がしてある感じ

がします。その顕著な例がデジタル印刷で散見されます。HPのインディ

ゴは、全ての紙に表面加工をしなければ、綺麗にトナーは載りません。

富士のB2判ジェットプレスもそうですね。コニカのB2判KM-1デジタ

ルUV機は表面加工しなくてもインキは載ります。ごく普通のオンデマン

ド機は紙の表面にトナーが張り付いて強制乾燥させるだけなので、紙につ

いての出力差は主にその用紙のテクスチャーに左右されるだけと考えてい

ましたが、どうも其れだけでは無いモノが見えてきました。ブンペルはト

ナーが載らないです。再生紙系はノリが悪いと云う印象は在ります。中質

紙も良くないです。オフセット印刷はインキと云う脂が表面を飾りますが

オンデマンド印刷はトナーです。この両者にどの様な差があるのかメーカ

ーは指標を出す時期に来ている気がします。