特色印刷
特色、特練インキ、中間色インキの説明をさせて頂きます。フルカラー
全盛の時代に在っては、特色や中間色と云うのは余り耳慣れない言葉だ
と思われますが、本の30年位前では普通にカラー印刷とは別に活況を呈
していた印刷方法です。カラー印刷では、プロセスインキの青、赤、黄
墨の4色で印刷します。この4色の組み合わせで写真画像はもとより色
々な色を表現します。青と黄色を混ぜると緑になります。混ぜると云っ
てもそれぞれの印刷胴は別々ですのでインキが混ざる訳では無く版上の
網点で重なったりする事で緑に見えるようにします。つまりプロセスカ
ラー4色で殆んどの色は表現できます。プロセスカラー4色機は胴が4
つあるのでとても高価です。1色機の4倍の金額になります。町の印刷
屋さんでは、カラーの仕事が無い場合は、大体1色機か2色機でした。
それで、チラシや伝票や名刺や封筒などを刷っていました。これらのモ
ノを刷る時、基本的には墨1色なのですが、チラシを赤で刷ったり、伝
票を紺色で刷ったり、会社のロゴカラーを特色で刷っていました。デジ
タルの普及からネットの発展、そしてネット印刷の普及から現在はカラ
ー印刷が標準になってしまい、その流れの中で特色の印刷が廃れて行き
ました。特色が廃れて行ったと申しましても全印刷物のカラーと特色の
割合としましては、まだまだほとんどが特色印刷です。DICインキメー
カーのインキ出荷額の対前年比としましては、中間色インキの出荷額は
ほとんど変わっていないのですが、プロセスインキに関しましては、対
前年比では15%減となっています。これは殆んど輪転機のチラシの印刷
物の減少と機を一つにしています。カラー印刷機がとても高価な時代、
機械自体は昔も今も金額はさほど違っていません。大きく変わったのは
カラーの印刷代です。昔の10分の1位です。特色の印刷代が昔と変わ
っていない分、需要としましては特色が減ってカラーが増えて行きまし
た。その流れの中で1色機、2色機の印刷会社の廃業とオペレーターの
離職です。私自身は、伝票や封筒を刷っていましたので特色を長く印刷
していました。カラーしか知らない人に比べると特色は詳しいです。12
年前時代の流れの中でイニュニックもカラーに全面的に移行しましたが、
特色や中間色のインキの使い方の面白さを十分に知るオペレーターの一人
なのです。ただイニュニックの周りの状況を考えるとこれから流行るのは
特色です。名刺が現在殆んど活版印刷であるように、印刷物のお洒落なの
は特色と云う時代がもうすぐ始まろうとしています。イニュニックも特色
を始めます。コートの紙にDICナンバーの何番を刷ると云うのは、中間色
インキを混ぜれば出来るので誰でも出来ます。「調肉くん」が有りますか
ら。本当の腕は、濃い色紙に刷られた特色インキを再現させることです。
これは何十年とやらなければ出来ないのでおいそれと出来る芸当では無い
のです。