コデックス装
本の装丁は、本の外観全体をデザインし、製本の仕様を決定します。本の印
象が装丁で決まりますのでとても大切です。いわば本の顔で読者に手に取っ
てもらえるかどうかが決まります。コデックス装は、本のデザイン性としま
しては特殊です。コデックス装はチープさと武骨さが両方あり、剥き出しの
背には色糸が見え、製本途中で投げ出したような粗々しさが、魅力的な製本
方法です。なんと云っても180度本が開くので中面が見やすく、手を放して
もそのままの状態を保ちます。背表紙がない事と糸でかがってある事で広開
性を保っています。しかしながら、背表紙で背中を保護してない分少しばか
り脆弱でもあります。一般に上製本は印刷した本文(16P折り、8P折り)を帳
合して、糸で本文の順番に糸でかがって行きます。この後、寒冷紗を付け、花
布を付け、スピンを付け、表紙を付けて完成させます。コデックス装の場合は、
糸でかがった後に背固めして3方を化粧断裁すれば完成です。表紙を付ける場
合は先に見返しを先頭と最後に張り付けておきます。そして見返しに表紙を貼
り合わせて3方を断裁します。綴じ糸は様々な色があります。
白、赤、黄、緑、青、黒など。常備在庫してないものは別注門で取り寄せます。
別途コストがかかります。かがり糸は、1折から最終折まで通してかがりますので、
台ごとに糸の色を変えることは出来ませんが、ボビン毎に糸の色を変えることは出
来ます。1色が2列になりますので2列ごとに色が変わっていく、カラフルなかがり
仕様も可能です。見返しの外側に寒冷紗を付けることも可能です。糸かがりだけの
物よりは本が強くなります。コデックス装の短所と云えばまさにそこの所で、表紙
でくるんでいないので強度に問題がございます。特に背の部分。コデックス装のコ
ストは上製本と並製本の間ぐらいです。表紙に箔押しをしたり、合紙をしたりする
事もできます。上製本にはない武骨な美しさ、180度ノドまで見える開き、ノドに
しっかりと絡みつく血管の様なかがり糸。特殊製本の中でもコデックス装の人気は
とても高く、見映えと手に取りやすい価格がその理由のようです。ただコデックス
装にはいろいろなパターンがあり、加工と仕様に合わせて金額が変わってきます。
本文だけをかがって背中を固めて3方を断裁したもの。本文の先頭と最後に少し厚い
表紙をベタで貼り付けたもの。本文と二つ折りにした表紙を一緒に糸でかがったもの
本文と表紙の間に1mm以上のチップボールをベタ貼りしたもの。それらに見返しを
二つ折りで入れる場合。雁垂れ表紙の場合もあります。
本文用紙にアート紙、コート紙を使って見開きでノドまでしっかり濃い色が入る場合、
折ずれなどが入りやすくなります。180度完全に開くということは、様々な不具合を
露呈させます。オンデマンド印刷の場合は、トナーの滑りなどが発生しますので、
塗工紙のコート、アート紙は避けたほうが良いと思います。少部数のオンデマンド
印刷の場合には他にも不具合が発生します。A4とB5の本の場合。8P、16Pでは、
オンデマンドで刷ることが出来ません。オンデマンド機の場合基本的には菊判
4切サイズ(A3)が最大サイズです。B6、A5ですと8ページ折りが出来るので
糸かがりは出来ます。仕上がりB5,A4はどうするかと云いますと、8ページの
入紙と云う考え方で刷っていきます。1-8(2-7)、3-6(4-5)
この二つの折を手で入紙します。これで8P折りの状態が出来ます。これら8P
折りを帳合して順番にしてかがります。こちらでB5,A4、少部数、オンデマンド、
コデックス装が完成します。