ビク抜きとレーザーカット

ビク抜きはトムソン抜きとも言います。丸い切刃を作れば丸く用紙に穴をあけることが出来ます。星形の切刃を作れば星形に用紙に穴をあけることが出来ます。

ビク抜きとは、直線裁ちでは出来ない断裁加工をオリジナルの刃を作って切り抜く事を云います。主に多いのは封筒の平型、化粧箱の展開型。切るだけでは無く折り筋目やミシン目などもビク抜きで同時に入れることが出来ます。
色んな形のシールもこの型で抜きます。オリジナルの型を作って注文ごとに刷って抜いて納めるやり方もありますが、印刷部数の減少とともに、オンデマンド印刷と自動切刃切断機で切って納める方法も出来てしまいました。商品パッケージなどがそうで大量生産、大量販売は遠い昔の事。必要な分だけ作って納品と云う制作ではビク抜き型の需要が少なくなっています。レーザーカッターは、レーザー光線でどんな絵柄でもカットします。切刃を折り曲げながら断裁線を作るわけでは無いのでどんな絵柄でも抜けます。たとえば影絵の様なもの。 イニュニックでも導入を考えましたが、需要が無いという意見であえなくカットになりました。需要は作り出すもので需要を待っていればいつまでたっても必要は出てこない。無いところからどうしても要るを作り出すのが商売なんですが、うちの従業員はただ面倒くさいだけと云う、後ろ向きが欠点です。
「たこ社長はつらいよ。」

去年の暮れに丸い本を作れないかと云うご相談を頂きました。ビク抜きは最大厚みが3mm位しか抜けません。無線綴じなのでどこかに一か所直線が必要です。いろいろ考えてブッシュ抜きにたどり着きました。ホタテ型の型を作って一冊ずつ抜きました。厚さは2cm位直径70mmの本です。本体をPUR製本で固めて丸く抜いて、北海道の製函業者に送って缶詰に入れました。外側に鯖缶のシール貼って「鯖缶の本」完成です。パカッと開けたら丸い鯖缶の本が出てきます。無理難題云うお客様と格闘するのが楽しいです。。