無線綴じ製本

製本をするときに本を綴じます。ごく普通には糸で綴じておりました。又は針金を

使用する場合があります。糸で綴じる事を糸かがり綴じと云います。8ページ、16

ぺージを中心が袋になるように折って中心に糸を通しながら折り丁をかがって行きま

す。接着剤で表紙と貼り合せます。糸でかがっているのでページが脱落することは在

りません。接着剤を厚く着けないので本も良く開きます。しかし、手間と時間が掛か

ります。昭和の半ば製本用接着剤、EVA糊が開発されました。こちらは、糸を使わな

いので無線と云うようになりました。ハードカバーでは無い並製本の糸かがりは今

でもありますが、この無線綴じの事を並製本と云います。上に対して並ですね。EVA

糊は温度に弱いのと粘度が悪いので背に接着させる方法としてガリを入れるミーリ

ング。折りを入れながらアジロミシン刃を入れるアジロ綴じがあります。ミーリン

グだけよりアジロ綴じの方が強いです。少しづつずらした点線の間に接着剤を入れ

るので折り丁ごとしっかり綴じるのでページの脱落が少ない製本方法です。しかし、

接着剤の強さを不安視するためどうしても厚めにつけてしまいます。すると開かな

い本が出来上がります。のど元までインキの乗らない文字モノの冊子の場合はさほ

ど不安はありませんが、写真集などページ一杯にのど元までインキで覆われる本の

場合はインキが接着剤を弾く為、極端に接着剤を厚くする必要があります。

PURとは、反応性ポリウレタン系ホットメルト接着剤の事です。建築や車の内装等

では広く使われてきた接着剤ですが、製本を用途として使われ出したのは、ごく最

近の事です。ヨーロッパでの普及が進んでいて日本での普及は5年前位からです。

PURとEVAの違いは糊の強さと柔らかさです。倍の強度があります。EVA糊が1ミリ

以上の厚さで塗布するのに対してPUR糊は約3分の1です。0.3・4ミリと云う厚

さで接着して十分な強さがありながら、薄くて柔らかいのでとてもよく開く本が出

来ます。オンデマンド印刷のトナーもEVA糊との相性が悪い物です。また、オンデ

マンド印刷は、ペラで順番を揃えながら印刷していきますので、アジロ折が出来

ません。オンデマンド印刷こそPUR製本にとても向いている製本方法です。