世界のブックデザイン2018-19
凸版印刷が運営する印刷博物館(東京都文京区)の1階にあるP&Pギャラリーで、
12月14日より「世界のブックデザイン2018-19」展を開催しています。
世界各地のコンクールで入選した書物が一堂に会する展覧会で、今年3月にドイツの
ライプチヒで開催した「世界で最も美しい本コンクール」の入選作品11点とともに、
日本をはじめ、ドイツ、オランダ、スイス、オーストリア、カナダそして中国の7か国で
行われた、さまざまなコンクールの入選図書を加えた約170点が展示されています。
その中には、今年5月「第53回造本装幀コンクール」で審査員奨励賞を受賞したイニュ
ニック発刊の「未明02」も展示されています。
会場では、展示作品がテーブルの上に無造作に置かれており、実際に手に取って巧み
な造本技術や賞賛に値するブックデザインをじっくり鑑賞することができました。
いくつかの展示品のそばには手袋が入った箱があり、痛みやすいので触れる場合は
手袋を着用する旨の注意書きが添えられていました。
撮影禁止の展示会なので、素晴らしい作品の数々をここでお見せできないのがとても
残念ですが、最も圧倒されたのは「第53回造本装幀コンクール」で日本印刷産業連合会
会長賞を受賞した『千住博&チームラボ コラボレーション展「水」図録 特装版』
という作品で、世界的な日本画家とデジタルコンテンツ制作集団が「水」をテーマに
繰り広げたアートイベントの図録です。
図録といっても、アクリルボードを紙で挟んだページは、厚さが1ミリはありそうで、
ページ数は10ページほどですがサイズはA2版近くありそうでした。その重さたるや、
本や書物と呼ぶことさえ拒絶しているような圧倒的な迫力がありました。
ほかにもドイツから出品の「Nichtsein」。日本語で「非存在」というタイトルの本
ですが、存在感に存在感を上塗りしたようなページデザインが目を惹かれる凝りに
凝った作品でした。
このように印象に残っている作品はたくさんありますが、造本やデザインを文章だけで
伝えるのは無理があるので、ぜひ実際に目の当たりにして、また手に取ってみることを
お勧めします。2020年3月29日までの開催です。