題箋(だいせん)

題箋とは、和綴じ本などで良く見かける書名を印刷してある短冊状の用紙を張り付けたものを云います。上製本の表紙に貼る場合もありますし、函に貼る場合もあります。書名だけでは無く絵や写真を貼る場合もあります。写真などを貼る場合は、貼る紙より少し大きい寸法でデボス加工(空押し)をして枠を付けておくことが必要です。大体布クロスの場合は、表紙タイトルなどは箔押ししか出来ないので、表紙に写真や絵を持ってきたい場合は、題箋となります。

印刷した用紙を切って貼り付けますが、予めタック紙に印刷して寸法通りに断裁して手で張り付ける方法と、特殊紙の場合は印刷した用紙を加工屋さんに出してのり付けしてもらう方法と、製本屋さんで刷毛でのり付けをしながら貼って行く方法がありますが、刷毛仕事の難しさで現在ではタック紙などでのり付けした題箋を製本屋さんに納入するのが一般的です。紙質により貼って綺麗になるものと綺麗に上がらないモノが有ります。長細い題箋は紙目の向きが大切で向きによっては丸まってしまう事があります。題箋の良いところはノスタルジックな昔ながらの製本手法を取りながら、周りの紙質や布クロスの表情を生かせるところ。上品で手製本の雰囲気がさりげなく出るところです。濃い色の特殊紙を題箋として貼って、その上に箔押しをすると云うのもめったに見ない手法ですが、面白いデザインです。題箋の基本形は白い紙、墨印刷、貼り付けですが、工夫次第で見たことも無い造本が出来ると思います。江戸時代の和綴じ本は、空押しする機械も無いせいで直接貼り付けていましたが、直接貼り付けるのでは、角などがあたって端から剥れる心配がございます。そのためにデボス加工をする必要があります、その方がおしゃれでもありますし。糊付けする関係上、やはり汚れやすいのが題箋です。ニス引きしたり、PP加工するのも一興かと思いますが、あまり光ると折角の上品さが失われることにもなります。