【合紙製本・卒業アルバム製本】
小さなお子さんが読まれる絵本、学校の卒業アルバムなどは、合紙製本と云い
まして紙を貼り合せて本を作っています。合紙製本の良いところは、180度
のフラットに本を開く事が出来るという事。本の全体を全て紙の2枚合紙で作
っているのでとても丈夫な本が出来上がります。また卒業アルバムなどで原稿
が揃わないけど納期は逼迫しているという状況などでは、揃っている処だけ作
業を進めて残りを待つという作業工程を踏むことも出来ます。特徴と長所を見
て行くと納得な理由が見えます。
小さな子供にとって絵本は、本とおもちゃの中間のような存在です。口に入れ
たりのしかかったり、乱暴に扱っても壊れません。180度に開くので乗る事も出
来ながら壊れないと云う丈夫さが必要です。
合紙製本は、すべての紙は片面だけしか印刷しません。印刷しない裏面の白い
処には全て糊付けされます。表紙から本文、裏表紙まで糊付けされた状態で全
て繋がります。糊付けで貼り合せながら丁合して行き、プレス機でプレスして
少し置きます。糊を乾かしながら水分を飛ばして貼り合せた紙を平らにします。
乾いて平らになったら小口三方を断裁して完成です。
印刷、二つ折りと云う工程でそれぞれ出来る範囲内での用紙の厚さが求められ
てきます。あまり厚い紙は印刷も難しいですし、折りでも筋押ししたり工程が
増える問題が出ます。それでは薄い紙はどうかと云うと印刷、折り加工は、難
易度が下がりますがしわやカールと云う問題が発生します。第一薄い紙でした
ら合紙製本をする意味が無くなります。大体厚さでは160Kから200K位まで。
対応サイズはA6からA4まで。絵本の場合は角丸加工も出来ます。
卒業アルバムでは、160Kから180Kのカード紙が良く使われて本文はレイフラット
でハードカバーに張り付けて完成です。
【活版印刷 名刺】
人と人とが簡単に繋がれる時代に在ってそれでも名刺は無くてはならない
大切なビジネスツールです。SNSで連絡を取り合うのは、同好の士、共感の
士であって、ビジネスの現場に結び付くには、中々ハードルが高くなります。
その様な関係の中にお金が絡む話題は、多分に御法度と云う部分があるから
です。また、ビジネスモデルが昔は協同他社の間でのニュービジネスの構築
と云う展開が多かったですが、今のニュービジネスは如何に他業種との協働
が果たせるかと云う部分に掛かっています。あらゆるものが繋がれるという
現状の中では、当たり前のモノが繋がってもビジネス足り得ない処まで来て
います。そうするとやはり名刺と云うツールが無いと自己紹介にならない。
最低限の名前と携帯番号とメールアドレスとURL。これだけあれば全ての自
分を営業できます。名刺はカラーでもモノクロでもオンデマンド印刷で簡単
に安く出来るようになりました。それでも、5年ぐらい前まではオフセット
の台紙に名前だけ刷りこむという線を死守する拘りの会社も見かけましたが
今は、ロゴカラーの色味もあっさりオンデマンドカラーに明け渡し、さほど
拘らないようになったと思います。全てグローバリズムの賜物です。会社の
独自性云々を云うよりビジネスの独自性を持ち得なくなり始めているからだ
と思います。企業間の合併、吸収が頻発になってくるとコーポレイトアイデ
ィンティも自ずと緩んで来る。今は解体途中の束の間に現われている名刺の
二束三文。印刷業に携わる者として悲しくなるぐらいの凋落です。
デザイナーの方々の皆さんの名刺が全て活版名刺なのは、そういう時代に対
する反発です。一国一城、センスと哲学だけでデザインの世界を泳ぎ続ける
時代の表現者たちは、いくらそれが時代の波だと云ってもおいそれと飲み込
まれる訳には行きません。代わりの効かないツールでないと商売になりませ
ん。名刺の活版印刷は、テキンも有りますがやはりプラテン機がカッコイイ。
活版活字と銅版とどっちが良いかと云うとそれは、もう活版活字です。書体
の制限が在るのは致し方ないのですが、植字と云う技術に活版印刷の価値の
70%が在るからです。機械は残りますが技術は消えてしまいます。