【印刷 立ち会い】
「印刷立ち会い」とは、本刷りの当日印刷現場に赴いて、色味等をチェックして、修正指示を出して本印刷を行うことを云います。 タレントさんやミュージシャンの方々、写真集、作品集、図録等でよく「立ち会い」が行われます。 簡易校正や本紙校正の段階で色の調整は行われているのですが、やはり当日の温度や湿度、通し枚数によって色の傾向がどちらかに振れて行きます。 立ち会いは現場の空気を引き締めます。 気持ちの入った作品の質にまで影響してくる所なので、気の抜けない所です。 ただ、ある一箇所の色にだけ拘りの場合、現場は困ってしまいます。 印刷機は、片面8面、16面で一遍に刷ります。 絵柄は、印刷機の流れに対して、2面、4面と並んでいるので、その中の一つの画像だけ選んで、赤を上げたり青を下げたりと云う事は出来ません。 他の画像に影響して来ます。 そこの色調整の指示は、本紙校正の段階で終っていなければいけない作業です。
印刷立ち会いは、フィルム時代(アナログ)に良く行われていた工程でした。 それぞれの製版屋さんの技量もありますが、一回目の色校正に対して、それなりに赤を入れますが、2回目の校正で大体OKでしたら、 今度は現場での技術で修正して行くというのが大方のパターンで、その時に立ち会いが行われます。 もう一回フィルム出力すると、結構な金額が掛かるからです。 昔の印刷機のレベルもありますし、フィルム製版のレベルも有ります。 ある程度の所でしょうが無いと云う事もあります。
現在の立ち会いの本当の意味としては、コスト優先で早くて安い印刷工場に発注したいが、 荒っぽい仕事をして粗悪な印刷仕上りでは困ると云うのが、本音の様な気がします。 データ作成の技術、色調整の技術、CTP製版、刷版データが印刷機のツボを動かす最新の印刷機。 昔のアナログ時代に較べると、素晴らしい進歩です。 現在は、印刷オペレーターが上手に刷り上げる時代ではありません。 データが全て。 データ造りでどの様にもなります。 だから機械が全てやってくれるので、若いオペレーターの技術は中々上がりません。 イニュニックには、アナログ時代からのオペレーターの腕があります。 色校に忠実に近づける熟練と、妥協を許さないプライド、そして最終的な仕上げを見極められるセンス。 これらが揃って、最高の仕上りが実現できます。 それでも、作品の質の最後のエキスは、作家の方でないと差配できません。 最後の一滴が立ち会いで完成されるのでしたら、これ以上希むべくも無い仕上げです。