第3の男

2020 年 8 月 27 日 木曜日

40年前位の名作映画10選などでは必ず2番目か3番目にランク

する映画が「第三の男」、そして大体1位が「天井桟敷の人々」です。

古い名作映画を4Kにしてリヴァイバルさせると云う手法が多くなってい

ます。最近のは面白く無い、熱量も金も厚みも無いと云ってしまいましょ

うか?「真夏の夜のジャズ4K」も良かった。最初クロンボ(現代にお

いては不適切な表現だと思いますが時代の空気感をお伝えするために敢え

てそのままにしておきます。)が何か始めたぜ的なところから夜になって

ノリノリでリズム取り始めるところなんか、見事に壁が壊れた瞬間を見せ

つけられた。家で大人しくしてろと云われて数か月のうっ憤が在ったにし

ろ目じりに涙が滲んでしまいました。吃驚です。

それで最初の「第3の男」これは20代の前半に見ているのですが、当時

は良く理解できなかった。確かに光と影の使い方が上手い。「これが名画

だ」と云うのを唯黙って受け入れていました。今回のは日本語吹き替え版

は理解は速いが映画の音を壊していたような気がします。映画の音と云え

ばアントンカラスのチター。サスペンスなのにこの軽佻な音が休むこと無

くずっと続いていて昔話になっているように思いました。そして肝心なの

が小説家として善も正義も思いやりも知っている男として若い頃友情を結

んだハリーが子供の命を芥子粒の様に考える悪として現れた変節の理由を

全然追及していないし、話の筋として一顧だにされていない。そこを書か

ないのだったら戦後すぐのウィーンである必要は在るのでしょうか?当た

り前すぎた地獄の前に「それを一々説明しろと云うのか」と云う声も聞こ

えてきそう。しかしそれが75年のギャップギャップかも知れない。

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