海の上のピアニスト
2020 年 8 月 22 日 土曜日深夜、目覚めると本を読んだりブログ読んだりして、次の眠りを待つの
ですが時々何もする気にならなくて、ボーとただ街の音を聴いている時
が在ります。「ゥゴォー――」と地鳴りの様な、風の音の様な、車の音
の様な、エアコンの音、人の囁き声や、よがり声や、怒鳴り声、虫の音、
誰かが誰かを殴っている音、それらが全て一体となって鳴っている。都
会の営みですね。ヨーロッパの農夫が初めて海を見て、海の音に感動す
る、そして豪華客船の中で生れ落ちて一生涯陸地を踏まなかったピアニ
ストの話です。豪華客船はイギリスとアメリカを往復する航路。アメリ
カに行くときは新天地に向かう希望に溢れているけど帰りは、旅行の金
持ちだけなのでしょうか?あっ、時代は1900年からの話。ピアニス
トは、旅人と越境者の不安と倦怠を紛らわせ鼓舞しながら、冷静に彼ら
の来し方を想像し、まだ見ぬ陸にただ想いを馳せます。設定、展開とて
も上手い。この映画にリアルを求めるのは愚の骨頂。とどまる事、向か
う事、終わりのない事、落ちる事、足掻く事、絶望する事。ピアニスト
は、生まれ乍らに絶望しているのですね。昔の映画の4K復刻版。金も
時間も構想もたっぷりかけられた時代の名画です。昔の出て来る人たち
が簡単でとてもいいや!