かなわない 植本一子

2018 年 3 月 9 日 金曜日

久々に全力疾走で読み切りました。都築さんがフィクションだったらと

書いていますが、私も後半でフィクションだったら最高傑作だなと思い

ました。しかし、違う意味で、所謂ブログ本と云われるものの中では相当な

傑作です。いや新しい文学の形でしょう。いやぁ~、書く書く、何でもかん

でも洗いざらい書いてます。最後の方で「ホッホー、こちらの件は書いて

なかったのね」と云うのがありますが。母親も読んでいるのに自分が子供を

可愛がれ無い理由を母親との確執が原因などと分析しながら全部をみん

なにぶちまけます。ひりひりする緊張感がありますね。書きながら読まれ

ながら、言われながら答えながら、演者と観客がお互い相絡み合いながら

群像劇を進行させます。多分これが私小説文学の新しい形ですぜ、西村

賢太さん。最後は母親がらみのネグレストっぽいところから来る人格障害と

いう話まで出て来て。かくされていた恋人。まっ、この辺で。

この本を読みながら私も母の事を考え続けていました。サンキュウ。

今日は、母の命日です。

白石さんの灯台

2018 年 3 月 7 日 水曜日

月曜日にお客様とイニュニックの者と4人で打ち合わせをしている時に

たまたま、「白石さんの灯台」の話が出ました。全員がその写真を見て

いて、「おとぎ話の様に不思議な灯台ですね。」と話していました。

前日にフェイスブックに投稿された白石ちえこさんの写真です。とても

小っちゃくてかわいいのです。昨日も松本君と「あれほんとだと思う?」

などと話していました。「白石さんは、ほとんどフィルムしか使わないし、

フォトショップも苦手みたいですね。」と云います。薄暗い夜の岩場の

海岸に白く細長い円筒形の筒が起っていてその頭から強いビームで

光を照射しています。真横から撮ったもの。でも光は140度ぐらいの

角度で100メーター位先の足元を照らしているのです。とても不思議

なのです。白石さんは、ここ数年冬の北海道の原野に鹿を撮りに通

われています。去年やった「鹿渡り」の個展も素晴らしかった。プリントも

買いました。そして次号の未明2号にも写真を使わせて頂く予定です。

だから、あの写真のあの場所は何処かに在るんだろうと思います。

今朝、3時ごろ目が覚めた瞬間、あの灯台に会いに行こうと強く思い

ました。教えてくれては駄目ですよ。こんなにも気持ちが動くのは久し

ぶりですね。しかし、日本中の海岸をやみくもに走る訳には行きませ

んし、かといってネットで調べ始めると簡単に見つかってしまうかも知

れない。実際、フェイスブックもう一回開いて全部を詳しく読んでいくと

何処かという事が出ているかも知れない。1カ月、二か月あれこれ推理

しながら絞り込むという昔の楽しみはもう味わえないのでしょうか?もう

実物は見てしまったのだから、次の楽しみはあれを探すだけ。

つちのこもりた

2018 年 3 月 6 日 火曜日

北九州小倉で建築設計会社を営むこもりたさん。

2代目の女性社長です。自らの建築現場に立ち会った経験をもとに

女性の建築現場進出を後押しするセミナーなどを開いているようです。

この本はそんなか弱き女子が荒くれどもの巣窟建設建築現場の泣き

笑い体験記を本にしたもの、建築現場でも女性の方働いてみませんか?

と云う内容です。農業女子も多いですが、ガテン系現場(云い方が古い

ですね)にもどんどん女子は進出し始めています。サービス業の賃金が

安すぎるせいです。使い捨ての職能と云う扱いしかされない。手に職を

付ければそれなりの賃金は貰えます。AIと産業ロボット化で昔ほど腕力は

必要としなくなっています。これに戦々恐々としているのが男子です。

女性は根気がありますし、気持ちにゆるみが無い。男は気分で働く

ようなところがありますが、女性にはそういうのは無いですね。徹底的な

リアリストだから。頭のいい子は、3Kと云われるような現場でもどんどん

入りたがりますが、性的な存在に祭り上げておこうという頭の古い男性は、

現場への侵入を阻止しようとします。本来在ったはずの女性性を活かせる

職業はとても限られたものになって行くと思います。そこで唯一、女性らしさを

必要とされなかった建築現場と云う男の聖域が崩されようとしているのだと

思います。ガテンの現場だって女性らしいものの見方や進め方は必要です。

内部に女性が居ると外からの女性がむやみに怖がることも無い。

グローバリズムとAI,ロボット化はあらゆる壁を壊していきます。

にも

王子製紙OKピクシードNEO

2018 年 3 月 5 日 月曜日

今回のデザインのひきだし33号読んでいたら、なんだか紙が良いなと

思って下見たら「OKピクシードNEO」と云うのが出ているではないです

か、うちの紙屋は本当に新商品持ってこないなぁと少しがっかり。ほんと

がっかりですぜアカオさん。去年の10月にOKピクシードの新商品として

NEOが出たみたいです。OKピクシードは、ラフ度や発色等から私は余り

好きな紙では無いのでついついB7トラネクストの方ばかり使っていまし

たが、今回のOKピクシードNEOは良いですね。インキのグロス感が凄い。

紙も白いしこれはお勧めの紙になりますね。厚いのが在ったら写真集に

使いたい位ですね。b7にずっと押され気味だった王子製紙中々良いの

出してきました。OKスプリームも微塗工の嵩高書籍用紙ですがカラーでも

モノクロでも良い発色。近々、イニュニックのサイトが大幅に変わります。

紙も一新してしまおうかな?と思う今日この頃。昨日は街には、半袖半

ズボンが結構繰り出していた。もうすぐ春ですね。

シェイプ・オブ・ウォーター

2018 年 3 月 3 日 土曜日

これは少し前に予告を見ていたのですが、あまり興味が無く観るつも

りは無かったのですが、前日に電車に乗ったら「スリー・ビルボード」

と「シェイプ・オブ・ウォーター」どちらがアカデミー賞取るかなどと

謳っていたのでつい騙されてしまいました。アカデミー賞取ったからと

云ってあまり面白かった試しはなかったのですが、スリービルボードが

結構面白かったので、あれの上を行くのかなと考えたのです。年を取る

と心の琴線の張りが失われるのか、何を見ても響かない。基本、驚きが

無い。お年を召した方でいつもニコニコで感情豊かに人生を謳歌されて

いるご様子を拝見しながら見習わなくてはと考える自分が居るのと同時

にとても恣意的に取捨選択している興味の対象をあざといとも考える。

どちらかと云うと矛盾や不正や偽りなどに目が向きやすい己が性分を持

て余しもします。さて映画の話。時は1960年前後。釜山の従軍から

13年と云う言葉が在ったので大体それぐらい。あの時代のデザインは

それなりに大好きで冒頭10分ぐらいで子猫じゃないけど後ろ首捕まえ

られて映画の世界に連れて行かれます。しかし物語の整合性が・・・。

異婚譚で収めるには他の要素を入れ過ぎだし、神話と云うには散らかり

すぎ。神話と云うと最近少しこの傾向は強いなと感じます。AIの時代に

人類は新たな神話を必要としている部分はあります。しかしあまり硬く

考えなくても楽しい要素は一杯あるので、それなりに面白い。私は、娯

楽派と云うより社会派物が好きなのでスリービルボードの方になびくが

トランプを忖度したらシェイプかも知れません。古き良きアメリカの時

代が良く描けています。

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