MILES AHEAD マイルス・デイヴィス空白の5年間
2016 年 12 月 26 日 月曜日チェッとベイカーの「ブルーに生まれついて」は初日に映画館に行ったのですが
満席で観れず、そのうちに興が殺がれたのか、なんとなく行きそびれていて、家で
CDだけ聞いていました。ジム・ホールの「CONCIERTO」のアランフェス協奏曲の
チェット・ベイカーはとても地味だけど、この曲にとても大事なスピリットを吹き
込んでいます。ジム・ホールのソロが終わってチェット・ベイカーのトランペットソロが
始まります。それは聞こえるか聞こえないかのようなギリギリの囁きなのです。
でもこれで、この曲の方向性とスピリットが決まったと思うのです。大体、ぼくの好きな
ジャズメンはヤクチュウばかりです。ビル・エヴァンス、バード、コルトレーン、アート
ペッパー、スタン・ゲッツ、マイルス、ベイカー。とても繊細だけど迷いが無い。
その流れで、マイルスの「Sketches of Spain」も聴いていたのです。
そしたら、何とマイルス、映画の中で聴くべき曲は、カインドオブブルーじゃなくて、
Sketches of Spainの「Solea」だと云うではないですか。そりゃ、あのドン・チーゲルの
言葉でも嬉しいじゃないですか。
クリスマスイブ、午後に観ました。築地の有次と正本に包丁研ぎに出していたのを
12時に受け取って夕方の会食にどうやって時間をつぶそうかとぶらぶらしながら。
出刃と柳刃包丁持っているので、職質に合うとやばいです。それで映画を調べたら
マイルスをやっていました。空白の5年間です。そりゃ、何が何でも見なきゃ為んない
でしょう?始まったばかりだったのですが、チケット買って入ってしまいました。
だって、出刃と柳刃ですから。本でも読んで時間をつぶそうと思いました。
今読んでるのは「写真をアートにした男」もうすぐ読み終えます。系統だてて
写真の歴史などを勉強してこなかったので、全体を見渡すことが出来た感じが
します。本を読みながら中から微かに音楽は漏れ聞こえてきます。でも時々、
大きなジャズの音を背中に客が出てくるのですね。なんか怒った様に足早に
出てきます。あれ、面白くないのかな?と少し思いました。
クールなマイルスを期待してはいけません。病気とジャンキーと離婚と孤独と
よれよれなんです。おまけにドン・チーゲルが考えた5年間なんです。
ハードボイルドなバイオレンスアクションあり、カーチェイスもあり、時間軸を交互に
錯綜させながらのスピード感は、まあまあ面白い。構成は良いです。
ただ、ドン・チーゲルの鼻がでかすぎる。そこだけがクールじゃない。