阿Q正伝

2009 年 5 月 21 日 木曜日

「1Q84」今度の村上春樹さんの小説です。ジョージ・オーウェルの「1984」と

魯迅の「阿Q正伝」とを合わせた題名だそうです。

魯迅は父が熱く語っていた人だったのですが、私は、父のことが嫌いでずっと長く反発していたので、手に取ることはありませんでした。

しかし、村上先生が題材にされたのですから読まないわけには行きません。

阿Qと云う、名前もよく分からない人の伝記です。

虚栄心の強い馬鹿な無政府主義者として描かれています。

しかし、ひどく愚かに描かれた阿Qは、自分自身のことのようにも思えます。

革命を達成させようと覚醒と啓蒙の話であるように思うのですが、それだけではない不思議な感じがします。

愚かな人間として阿Qが描かれているのに、人間賛歌のような感じもするのです。

愚かでよい、弱くて良い。あるがままで良い。

阿Qの人生を丸ごとそのまま肯定しているような気がします。

立派な一人の人間として認めて伝記として残す。

これが魯迅の愛であろうと思いました。

ETCとNシステム、携帯電話、デジタルテレビ、検索履歴デジタルで記録される一人の人間の伝記。

これがシステムで阿Qが卵と云う事なのでしょうか?

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