存在しない女たち

2021 年 2 月 26 日

先週読み終わっているのでした。何を如何云おうかと悩みながらうつうつと

考えていたのでした。文化や制度と云うモノと不可分だなと思います。その

文化・制度を形造っているのは、男であり女でもあると云う処の前提は、先

日、池袋駅前でアジっていた右翼の街宣車と同じ出発点になってしまう。そ

れぞれに役割があると云ってました。この前の筑豊の「弁当を持ってこない

子ども」と云う写真の残酷さは、その給食の時間に同席させると云う制度、

これが所謂九州で名高い「男尊女卑」です。学校制度の中に女は我慢と云

う教育方針が植え込まれている。公共の制度の中でも普通にまかり通って

いる男女の不平等は、家庭の中ではより顕著です。無報酬の労働時間を経

済に回す事を考えるとGDPが上がると云うのはある意味2重の搾取です

ね。me tooからこちら差別は減っている。社会主義社会では公共的には男

女差別は在りませんが、家庭内の労働は女性の方が多いです。テレビのヒ

ーローは家で子供のおしめを変えたりしない。鬼滅の刃の中ではどちらが

料理作っているのでしょうか?作法とかしつけとか役割それらをひっくる

めた文化と云うモノがある。香港では普通の中流家庭でフィリピンのメイ

ドを雇っている。台湾やタイは食事を外で取る割合が高い(屋台は安い)

しかしそう云う事では無いですね。あらゆる公共機関の人員を男女同数

にする処まで行ったとしても何らかの差別は残る様な気がします。結局

の所、男と女は憎み合っている?何だかひどい結論が出て来てしまった。

土曜日の日本経済新聞

2021 年 2 月 22 日

土曜日は新聞の書評欄があるので毎回買っています。最近はお金の事

ばかり考えているせいか日経さんが紹介する本を買う事が多いです。

世界がどう動くかと云うのは、経済だけの話では無いのですが、人文

系は割とそこを軽く見ている。土曜日に目星をつけて池袋三省堂の書

評コーナーに行って棚から取る。この棚から取ると云うのが少々気が

引けるのです。棚には1冊しかないので。この前店員さんに何処に置

いてあるか書いておいてくれたら、そちらに取りに行けるのですがと

申し出たら「棚から取って貰って全然問題ないですよ!」と云われて

しまった。クレーマーじゃないんだけどなぁ。

「黄色い川」北海道戦後開拓・離農農民誌

2021 年 2 月 17 日

札幌の菊地慶一さんの戦後開拓史「黄色い川」この本はイニュニックの

もう一つの出版発行所「書肆 山住」から出した本です。昨日日本経済新

聞の夕刊で紹介されたようで、朝から注文の電話がひっきりなしに続いて

大変な騒ぎになってしまいました。戦後復興のおり食糧難から内地の焼け

出された人々や外地や、満州から引き揚げてきた人々を北海道開拓に送り

出し、夢破れて離農した人々や開拓に生涯を掛けて取り組んだ人々の記録

です。奈良で教師をしていた宮本常一さんが大阪府に雇われて戦災で焼け

出された京阪神の人々を開拓者として引率していたと云う情報は、中々考

えさせられます。後で様子を見に行った宮本さんは、方々で話が違うと責

め立てられた。その経験が後になって宮本さんの民俗学の探求の原動力と

して花開く。いわば贖罪ですね。生でしか聞けない実のところが丁寧に記

されています。

しがみ付く

2021 年 2 月 17 日

今まで歩いて来た道は間違っているのではないかとぼんやりと

思いながらこの冬に閉じ籠っていました。昨日の「今日のダー

リン」に「人はほめられたところに停まり易い」と云う言葉が

在ったのです。そうかそう云う事かと膝を打ったのでした。

「デザインのひきだし」に軽オフセット印刷のイニュニックと

云われ、こだわりの写真集のイニュニックと云われ、凝った製

本を安く作って呉れるイニュニックと云われ、いろんな雑誌に

取り上げて頂きました。担ぎ上げられて煽てられ有頂天になっ

ていたのではないかと閉じ込められている巣の中で考え始めて

いた処だったのです。人はほめられたところに停まりやすい。

成功体験にしがみつく。好きな事にしがみつく。歩いて来た道

にしがみつく。どれも同じですね。成功体験を重ねることを成

長と云うのかもしれませんがその内容が革新的であるかどうか

を突き詰めて自分に問う人と云うのはあまり多くない。イノベ

ーションは、全く次元が違う処から出て来るものですが自分自

身にそれほどの変革を強いている人はいない。私は格好だけの

人だった感じがします。しがみつくが一番駄目なのですね

すばらしき世界

2021 年 2 月 15 日

前科10犯の役所広司が色男で正義感にあふれているのは映画ですからね

と云ってしまえば身もふたもない。リアルな前科10犯はそんなに感情移

入は出来ませんから、しかし役所広司だから映画になった。

小さな時に生存を脅かされるような育ち方をすると脳の損傷が起きます。

短絡的に全てが生きるか死ぬかの判断しか出来ない様になります。キレる

とはそう云う事。頭の中は見えないから外見では判らないけど、外見以上

にとんでもなく違っている。一昨年「ケーキを切れない子供達」が売れま

した。ここの問題を掘り下げて行くとこの手の事での罪と云う概念その物

が消滅するので日本では無視する事になっています。刑務官や弁護士、福

祉の人達はある程度理解しています。一番よく知っているのがやくざの親

分さんです。不良の世界に居る人は、男でも女でも視線が粘っこい。相手

の間合いに入ると絡みつくような目で確認してきます。全てが命がけなん

です。バリアを貼ってたこつぼで生きるより遥かに人間的です。見ざる言

わざる聞かざるの生き方と全てが命がけの生き方とどっちが面白いでしょ

う?すばらしき世界とはそう云う事なんだろうなとおもいます。泣いたり

笑ったり良い映画でした。善い人の前科10犯だから安心して観ていられ

ます。「善人なおもて往生す、まして悪人おや」

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