空いたレジスター

2021 年 5 月 7 日

店仕舞いしたらいつもはブラインドを下ろして店の中は見えなくなっている

のにこの日に限ってブラインドは降りていなくて窓際のレジスターも空きっ

ぱなしで小銭も入っていない。これはどう見ても事件を予感させます。

いつも行く美容室で客の入りの状況を訊くと去年の4月だけ少し売上悪かっ

たけど、後は概ね大入りでこれまでの年よりずっと忙しい状況が続いている

と云います。濃厚接触で、テレワークで出かけないのに髪の毛だけは当たり

に行く。不思議だなと改めて考えると自分を自分として単刀直入に認識して

いるのは鏡です。そして鏡に映るマスクした自分の個性が発揮できるのは、

目と眉毛と髪型だけなんですね。薄くなり始めた白髪頭の私でもひと月に

一回美容室に行きますし、その代り昔ほど頻繁に鼻毛を抜かなくなったの

でマスクの上からいつも鼻をごにょごにょ、搔いています。美容室成金と

鼻毛的増毛と空いたレジスター。謎は謎のまま。

山谷佑介「tsugi no yoru e」限定販売

2021 年 5 月 6 日

山谷佑介さんの初期写真集「tsugi no yoru e」が増刷されます。

イニュニック書店、イニュブックにて限定販売されます。

今から試作品、作成。販売6月に入ってから。詳細は決まり次第

お知らせします。

トンビと蛸と無花果の木

2021 年 5 月 4 日

草刈り機で畑の草を刈っているとトンビに襲われそうになった。鳥の影が

急に大きくなったので振り向くと頭上5メートルぐらいのところまで来て

いた。新参者だとからかったか?人間を襲うとは思わなかった。小動物の

獲物のオーラが出ていたか?黄色と緑の迷彩柄の帽子に反応したかも知れ

ない。市場に魚を買いに行く。生きた蛸が売っていたので2杯買った。1

杯、二千円は高い気がしたけど生きたのを買える機会は、あまり多くない

と思ったので値切りもしなかった。店の人が「絞めとくね」と云ってくれ

たので安心して任せていた。家で袋から出すと大きいサイズの方がまだ生

きていた。さて困った。袋から出すと腕にひじの方まで足を絡ませてきて、

叫び声をかろうじて抑えた。田舎の文化包丁がまた切れない包丁で「ワォ

ー」と思いながら頭を切り落とした。ここでもう台無し。べりべりと腕か

ら引きはがした。蛸の足をしごく様にぬめりを取り続けたけど20分やっ

てもぬめりは無くならない。大鍋に水を張ってその中で足をしごくとぬめ

りが無くなって行くようだ。茹でる前に一晩冷凍にすると柔らかくなると

教わったのでその日はそこまで。自然解凍させて大鍋に湯を沸かして酢を

少し入れて醤油も少し入れて沸騰した鍋の中にそっと入れる。塩は入れな

いと教わった。再沸騰まで待っていたら行き過ぎる感じがしたので少し湯

が動きそうなところでカウントを始める。4分と少しで火を止める。10分

そのままに置いて、蛸を引き上げる。食べたのは二日後でしたがとても美

味しかった。箸を持つ手に絡みつく吸盤の記憶が味に花を添える。

枯れかかった無花果の枝を剪定する。鋸を引くと鮮やかな無花果の実の香り

が鼻を満たす。まるで無花果を食べているような錯覚に陥る。これは果樹の

防衛手段かなと考える。何歳になっても初めてはやはり楽しい。

70億のファーン

2021 年 4 月 28 日

一人ぼっちであっちに行ったり、こっちに来たり、時々誰かと話したり。

私たちの心情そのままだと思います。リーマンショックの2008年の

後でもここまでの共感はなかったと思います。ファーンがのぞいている

淵を同じようにのぞいている70憶人がいるだけ。「2021年が選ん

だこの一本、希望は路上にある」ってなんと云う事を言うんだろう。

70億台の自動車が走り出したらCO2大変なことになります。ノマドラ

ンドはそれほどすごい映画ではありません。私たちの感性が異常なこと

になっている。映画が始まって3分ぐらいで涙が出だして、そんな自分

に心底驚いた。ただ旅が始まっただけなのに。

映画 ハイゼ家 百年

2021 年 4 月 26 日

当分映画は観ることが出来ないと思ったので慌てて「ハイゼ家 100年」

を観に行きました。第一次世界大戦から現代までの3代に亘る国家と連動し

た家族の歴史。我々個人の歴史とは生活の細部に宿る一つ一つの物事であ

りその全体像が国家の歴史なんだという切り口は全くその通りと思うので

す。戦後東ベルリンに閉ざされた(閉ざされた?)視点がユニークだなと

思います。歴史に流されるということを生まれて初めて体験しているのが

このコロナ禍でした。80年前のあの時代から逃げきれた人もいない。東

大に入る頭がありながら学習院にあえて行き、徴兵忌避してしまう三島由

紀夫。中学の時代から文学に精通して詩や評論を発表しながら東工大に行く

吉本隆明。彼らはまんまと逃げ果せたのだろうか?宿痾のように胸の奥底に

抱かえ続けたのでは無かったか?時代から逃げることは出来ないのですね。

ここ最近東側物を集中的に観ていますね。これも時代なんだと思うのです。

この映画はいろんな意味ですごく期待してスクリーンの前に座ったのです。

それがですね、それが10分もたたないうちに寝てしまったのです。私だけ

ではない、顔の角度が下気味の人が結構いた。私はなんといっても、好物

が「男はつらいよ」ですからね。あまり難しいアプローチは得意ではない

のです。モノクロの廃墟や森を映しているだけのあまり動かない映像に昔

の家族が受け取った手紙や日記や作文などの朗読が延々と続くだけなので

す。言葉だけでは難しい。まして登場人物の名前が頭に入っていない。

遺品などが映像として出てくるものと思っていました。言葉よりブツです。

ブツは嘘つかないです。言葉は観念的になりすぎる。2時間の休憩で出てし

まった。トーマスハイゼ監督のインタビューなどが予定されていたのに。

プロレタリアートにも解るように創ってくれなくっちゃ。

上へ