鎖につながれた猫

2006 年 9 月 20 日

私の通勤路に、鎖につながれたペルシャ猫君がいます。いつも玄関先で網戸越しに外を眺めています。

憂いを帯びたその横顔にあるのは、絶望でしょうか。

私が知る限り、6年の間に今のペルシャ君で、三匹目です。一匹目のやはり高そうな外国産の猫を初めて見たのは、夏の暑い夕方でした。少し深いバケツの中で正座をして、頭からヒシャクで水をかけられていました。少しきつ目の首輪をつけられて、目をつぶって我慢する様子は、宿命と言うにはあまりにも無残な姿です。飼い主は時々散歩させながら、お手なんて言っているので犬と間違えているのかも知れません。

今回、散歩の途中で外につながれたペルシャ君に会いました。カメラを出して構えると、ニャーニャー鳴いて家人に助けを求めます。二本足で立ち上がって、網戸を手で開けようとさえします。ただ絶望の中に生きているだけではなく、飼い主との関係もちゃんとできているようではあります。でもちょっと可哀相だ。

ラファエロの空

2006 年 9 月 18 日

宗教画で描かれる天使が舞う天国のような夕焼けでした。昼にWOWOWでマザー・テレサの映画を見ていて感涙に泣き通したところだったので、嫁に、

「スゴイ夕焼けやなー。これって、神の啓示かなにかなんかなー。」

て言うと、

「あんたみたいなメデタイのに、神さんが何をゆうん」

だって。そりゃあ、まあそうです。

わくい

2006 年 9 月 15 日

昼休みは、会社から、社長から、私自身からも逃げ出して、30分だけ一人きりの昼食をとります。あまり客の来ない静かな店で、そばを食べるのが好みなのですが、仲々気に入るお店がありません。熊野町でお昼を食べられるお店は、5軒ぐらいしかありませんが、その中で「わくい」と言う、じいさんと、ばあさんで切盛りしている中華屋さんは、量が多すぎると言う難点はありますが、割と好きなお店の一つです。料理には何でもたくさんのキャベツが入ってます。慣れた常連さんは、キャベツ抜きとか注文しています。お店には近所の職人のじいさん達が多いのですが、本当にみんなよく食べます。よく一緒になる、白髪の川端康成風の職人さんは、私がまだ恐くて一度も注文したことがない、みそラーメンに山盛りのごはんを一緒に食べます。先日、隣に座ったじいさんは、大盛りの焼そばを食べる間に、新聞を読み乍ら、三本もたばこを吸いやがりました。宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」の詩の中に「一日に四合の玄米を食べ」と書いてあります。玄米は食べるとお腹の中で相当膨れるので、いくらおかずを食べないとしても、玄米四合はとてもじゃないが、食べれないと思っていましたが、一日中体を動かして働いていると、それぐらいは食べないと体が保たないのかなと「わくい」に通い始めて感じています。引越前の大山金井町で通っていたそば屋の親父さんは、「いつも静かに笑っている」人でしたが、今度の「わくい」のじいさんとばあさんは、いつも大きく「ガッハッハッァー」と笑っています。すぐに厨房から出て来て、常連さん達と冗談を言い乍ら、大笑いするのですが、大抵その時には、私と目があっているんです。明らかに「わくいワールド」に誘われているようです。

ブライアン ジョーンズ

2006 年 8 月 24 日

ローリングストーンズと言うバンドにブライアン ジョーンズと言う人がいました。私は、ストーンズと言うバンドをデザインしたのは、ブライアン ジョーンズだと思っています。ビートルズの場合は、サトクリフ。才能と行動力。いつも新しい才能は、繊細な心に降りて来て、方向性を示し、大きなうねりの中で、自滅してしまうような気がします。最終的にその花を咲かせるのは、剛胆な決断力。(ミックやジョンのような)このTシャツ、ブライアン ジョーンズと書いてあったので、何も考えないで買って着ていました。

しかし、「あぶない!!」って何の事なのかなと思っていました。ブライアン ジョーンズが警告すること事体おかしなことなのですが。先日、回転ずし屋から出て来た私を見て、目の合った外国人の人が、かすかにニヤリとしたのです。それが気になって、帰ってからブライアン ジョーンズを調べてみました。警告しているのは、海洋学者のブライアン ジョーンズ博士で、海の生態系の上位にいるマグロを食べるのは、とても危険だと言っている訳です。入口にマグロのイラストがたくさん貼ってありました。環境について、高い意識を持っているつもりでしたが……。

「絵に書いたような満足顔が、腹をふくらませて寿司屋からでて来る。しかしその腹には、マグロを食べたらキケンだよと警告してある」観客はたった一人でしたが、久々のヒットかな。ケッコ-なスジガネ入りだと言う事がばれちゃいましたかね。

ローリング ストーン

2006 年 8 月 23 日

ローリングストーンズ誌で選ばれた、20世紀で一番心に残った曲は、ボブ・ディランの「ライク ア ローリングストーン」です。私自身は、リアルタイムにその言葉に、インスパイアされた訳ではありませんが、ローリングストーンズがいて、ローリングストーンズ誌があって、ディランのライク ア ローリングストーンがあって、当時、劇的に進化し続けるロックと言う音楽が、私の中で、ロックとロ-リングスト-ンが結びついて行って、私の中で「ロックとは、転がり続ける意志、前に進み続ける運動そのもの」と言う定義になって言ったように思います。

ローリングストーンは私にとってとても大切な言葉です。そんな言葉を見事に形にした石盆栽を先日、見つけました。これはもう、家宝と言うより、私の御本尊そのものです。仏壇の中にお備えしております長野からの客を、時々立ち寄るミニ盆栽屋さんに案内して見つけた物です。お店のおばあちゃんに「これは、おいくらですか?」と聞きますと、これは、石盆栽が趣味だったお祖父さんが亡くなって、娘さんが処分に困って、友人であるミニ盆栽のおばあちゃんの処へ持って来て、「欲しいと仰しゃる同好の方が居たら分けてあげて下さい」と置いて行かれた物だそうです。

私は、そんなに盆栽に詳しい訳ではありませんが、ぜひ、譲って下さいと頼むと、「じゃあ、500円だけ頂題」と言ってくれました。思いとやさしさが結んでくれた縁だと思います。

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