わくい

2006 年 9 月 15 日 金曜日

昼休みは、会社から、社長から、私自身からも逃げ出して、30分だけ一人きりの昼食をとります。あまり客の来ない静かな店で、そばを食べるのが好みなのですが、仲々気に入るお店がありません。熊野町でお昼を食べられるお店は、5軒ぐらいしかありませんが、その中で「わくい」と言う、じいさんと、ばあさんで切盛りしている中華屋さんは、量が多すぎると言う難点はありますが、割と好きなお店の一つです。料理には何でもたくさんのキャベツが入ってます。慣れた常連さんは、キャベツ抜きとか注文しています。お店には近所の職人のじいさん達が多いのですが、本当にみんなよく食べます。よく一緒になる、白髪の川端康成風の職人さんは、私がまだ恐くて一度も注文したことがない、みそラーメンに山盛りのごはんを一緒に食べます。先日、隣に座ったじいさんは、大盛りの焼そばを食べる間に、新聞を読み乍ら、三本もたばこを吸いやがりました。宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」の詩の中に「一日に四合の玄米を食べ」と書いてあります。玄米は食べるとお腹の中で相当膨れるので、いくらおかずを食べないとしても、玄米四合はとてもじゃないが、食べれないと思っていましたが、一日中体を動かして働いていると、それぐらいは食べないと体が保たないのかなと「わくい」に通い始めて感じています。引越前の大山金井町で通っていたそば屋の親父さんは、「いつも静かに笑っている」人でしたが、今度の「わくい」のじいさんとばあさんは、いつも大きく「ガッハッハッァー」と笑っています。すぐに厨房から出て来て、常連さん達と冗談を言い乍ら、大笑いするのですが、大抵その時には、私と目があっているんです。明らかに「わくいワールド」に誘われているようです。

上へ