週刊新潮 読書万巻

2017 年 12 月 21 日

週刊新潮の書籍紹介、読書万巻で大竹昭子さんがイニュニック「原民喜

童話集/別館毬」を紹介してくれました。清楚で寡黙な佇まいと装幀を誉めて

頂いたのが一番うれしい。クリスマスプレゼントにピッタリの本と云うのもとても

タイムリーです。大竹さんの本は大体読んでいて、これで大竹さんと繋がった

なとそっちの方がよっぽど嬉しいのです。先日はヤフーニュースで荻窪、

Titleの辻山さんが「原民喜童話集」を取り上げてくれていました。じわり

じわりと染み込んでくるのが原民喜の文章。そっけない、飾りも無い、

うま味も無い。砂漠を2週間彷徨い歩いた旅人が差し出された飲み物を

選ぶとき、玉露やジュースを選ぶ人は居りません。何もまざりっけの無い、

清水を選びます。民喜の文章を飲んでみてください。身体の深いところに

染み込んでいきます。

立石うちだ

2017 年 12 月 15 日

京成立石 宇ちだ イニュニックでは誕生日には休みを取って、一日遊ぶ

ことを奨励しています。動物園に行ってもいいし、誰もいない海で海水浴しても

いい。私の10月の誕生日は、免許の更新に行きました。東陽町の江東運転試験

場だったので久しぶりに昼酒で「うちだ」でも行くかと立石に向かいました。

前の日に立石駅一帯の開発が始まるという新聞記事を読んでいたからです。

10年ぶりぐらいか?もつ焼き屋談義をよくするお客さんとうちだの様子は良く

聞いていました。日本中から客がやってくる。土曜の朝8時から並んで昼過ぎに

は営業を終えてしまうなど。15時前、むずむずしながら20人ほどの行列の最後

尾に取りつきました。前に居たご年配は、店の常連の様でいろいろ、店の事を

教えてくれます。最前列の行列は「赤いのれんの内側に頭を入れていないと

兄貴に怒られるよ」と云う、注意のあたりから「おやぁ?」と思い始めたので

した。「何だそれ!」です。ご常連が云うには事細かな約束事があり、守ら

ないと叱責が飛ぶようです。何だかなぁとボルテージが急に下がり始めました。

順番が来て座る席を指示されてビールともつ焼きを注文しました。巾30セン

チのテーブルに向かい合わせでびっしり客は座っています。ビールともつ

焼きの皿二枚置いただけの面積が我が領土です。ぎっしり詰まった客席に

私語はありません。注文の声と兄貴の「あぶら、レバ、若焼きだれだれ!」

「しろ、カシラだれだれ!」と云う声がするだけ。「こっちの通路側に足出さ

ないで!」と云う注意を最初にされましたが、帰るまでに3回、「ほら、足!」

と叱責を受けました。うちだ刑務所の食堂でもつ焼き食ったみたいでした。

ちょっと面白いです。怒られながら酒飲むというのは。もつ焼き6本と煮込みと

ビール大びんと焼酎梅割りで1600円。この金額なんだから、腹立てちゃ

いけない?のかな?

君たちはどう生きるか

2017 年 12 月 15 日

2年前の夏だったか、小学6年生になる姪の長女が何の話の

流れだったか、私に「クラスにお風呂に入らへん、汚い女の子が

居るねん。」と云いました。私は、内心「ほう、そういう風に見るのか?」

とその時は何も言わず受け流しました。少し残念でした。大体

誕生日プレゼントは、「モモ」や「飛ぶ教室」や名作と云われた本を

プレゼントしていました。少し話す言葉の端々に内面の成長を感じ

させてくれていたのでしたが・・・・・。東京に帰って岩波文庫版の

「君たちはどう生きるのか」を送りました。それから2年、帰省の度に

何回か会う機会が在ったのですが、なんとなく目線を伏せて私を

避けるふうでした。漢字が多いし少しハードルが高い宿題だったかな

と思い始めていた今年の夏、帰省して田舎でバーベキューをしました。

焼き場でせっせと肉を焼く私の前にどっかと腰を下ろして、キラキラ

光るまなざしで私を見てきました。内心、「おぅ!宿題やったな。」と

思いました。しかし、酔っぱらった親父と中2女子がどう生きるか

なんて出来る話題でも無し、かといって「おぅ、どうした、やっとおっぱい

膨らんできたか」と云うセリフも危ない年頃だし。そんなことがこの夏

あったのでした。

病気だったり、事故だったり、弱さだったり、倒産したりと、子供には

判らない状況で貧乏に落ちていく事なんか、いくらでもあります。

子供には責任なんか無いのです。今この本は、子供より中高年の

大人が買っているそうです。だけど敢えて言いたい「あなたたちは

どう生きて来たのか」 子供の貧乏を助けてやれない社会を作って

しまったのは、私たち大人だ。

 

スカピンとメグロ

2017 年 12 月 11 日

トマジーニ盗まれてひと月。自転車乗りそのものが憎らしくて、うんざりして、

自転車に係わっているものすべてが嫌いになって、自転車の世界から離れ

ようかな思っていました。それでも、通勤には便利なので、マウンテンバイクの

方を使っていました。すれ違うロードバイクを睨むように見つめ続ける自分が

居ました。憎いのか羨ましいのか、自分でもよく判らない。みんな、サラブレッド

に乗って颯爽と走っているのに僕はポニーに乗ってよたよたです。悔しい思い

が沸点に達して、また買ってしまいました。フレームは、スカピン。35年ぐらい

前の手作りです。古河市の栗田商店で部品バラバラに買いました。

自転車ビルダーに組立お願いして、家に帰ってくると地下の駐車場に

メグロが停めてありました。60年前のオートバイ。私が生まれた日に父は、

この単車を買ってきたそうです。「スカピン買ってOKだぞ」と云われたみたい

です。スカピン、名前が良いよね。

今は亡きトマジーニ。プロの窃盗団が居るそうで、狙われたらどんなワイヤー

でも切って持って行くそうです。火野正平あにぃと同じブランドですもんね。

正平あにぃがトマジーニなんかを選ばなければ、さほど目立つブランドでは

無かったはずです。

 

京都 恵文社一乗寺店とまほろば

2017 年 11 月 27 日

京都恵文社一乗寺店で「原民喜トークイヴェント吉村萬壱と外間隆史」

10年以上前からそのお名前はお聞きしていましたが、その創業が1970

年代と云うからホント驚きの名書店、恵文社一乗寺店。京都は北のはずれ、

社員の方が云うには番外地にあるお店です。周りにはこれと云って有名な

ものは何もない普通の商店街の一角にあるお店です。それなりに店も大き

くて若いお客様で大繁盛のお店です。新刊も古書も扱い、今とこれからと

人類の知性に拘れば本屋と云う商売が衰退するものでは無いのは、自明

の事。すべては、自動で送られてくる取次システムにすべての問題がある

のでしょう?新しい服が出来たからと云ってどんどん、趣味も流行も関係なく

取次から服が送られてくる洋服屋さんが繁盛するかと云ったら、そんなことは

あり得ません。

今回、トークイベントと云うのに2回、参加しましたが読書の体験の幅が広

がったなというのが実感です。長く私にとって読書は個人的でとても独善的

な行為でした。トークによって理解の深度が深くなったと云う事と、違う視点

の存在が改めて他者と云う者を明確にします。最初吉村さんと原民喜がどの

ように結びつくのかとても懐疑的ではありましたが、終わってみればとても内容

の濃い2時間でした。今回、映像と音声撮ってユーチューブでアップしようか

な思ったのですが、少し逡巡が有って実現できませんでした。吉村さんの

話はやるべきだったと後悔一入です。吉村さんの話はめちゃくちゃ面白い

です。トークの後は30分近く歩いて「まほろば」に移動。あまりよく知らない

処でしたが伝説の店の様でした。

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