ニューヨーク公共図書館

2019 年 6 月 3 日

土曜日の午後の回で観ました。いつも団塊の世代に囲まれて観るのですが

若い女性ばかりでした。多分図書館関係の人達、本関係の人が多いなと云

う印象でした。ずっと満席のようです。予備知識なしで図書館成る物を深

く考察することも無く、いきなり図書館の世界に放り込まれました。そこ

で行われているのは、本の貸し出し業と云う範囲に収まらない様々な活動

でした。地域の開かれた知と多様な文化、市民の交流、より良い人生への

手助け、民主主義のベースを支えるあらゆる試み。世界で最も有名な図書

館。半分が市の財政、あとの半分は民間からの寄付です。エルビス・コス

テロやパティ・スミスが喋っていた。多分ボランティアでしょう。アメリ

カの他国への振る舞いは、腹が立つものが在るけど自国での民主主義を支

える仕組みは、やはりいいなと思います。アメリカに命からがらやって来

た人たちは、誰かの助けを借りながらアメリカンドリームを実現させてい

きます。成功したらちゃんと次に来る人たちのための手助けを準備してい

る。コリン・ウイルソンの真似して私も図書館で勉強していました。アル

バイトをギリギリまで削って、残りの時間を殆んど図書館で本を読んでい

ました。だけどこんな図書館が在ったらもう少し知性のある人間になれた

かも知れない。しかしこの図書館が指し示している事は、実は知性と云う

事ではありません。パブリックがすべき役割の本質的な部分です。副題に

エクスリブリスと在ります。蔵書票、後ろの見返しにその本の所有者を記

した票を貼る事。ニューヨーク公共図書館の蔵書票とは、何でしょうか?

サービスを提供する裏方とそこを利用する人たちの全て。その人たちをエ

クスリブリスと云うのだと思いました。約3時間半、間に休憩が在るので

4時間近く座る事になりますが、様々な事を考えさせてくれる映画ですね。

映画が終わってエンドロールになる瞬間、結構な人たちがドッと起ちあが

って怒った様に出て行くんですね。日本で出来る訳が無いと云う事でしょ

うか?だとしたら、日本の未来は暗いままですね。

印刷業の未来

2019 年 5 月 31 日

池袋はフクロウをイメージキャラにしています。区長が本屋の親父だった

ので、プッシュしたのかもしれません。私も好きな動物。フクロウの好物

が蛇だからと云うわけではありませんがごく最近知った事実。蛇の舌は二

つに分かれていて、ゆっくり進みながら舌を口からチョロチョロ泳がせな

がら進んでいきます。これは、臭いを嗅いでいるそうなのです。舌で匂い

を嗅いでいる。鼻もちゃんとあるのですが、舌で別の臭いを嗅いでいる。

羨ましい訳ではありません。だけどそう云われてみたらなるほどね!と思

います。さて本題。3月にペーパーレス法案が通ってから業界は、文字通

り、ペーパーレスに向かってまい進しています。去年秋から始まった紙不

足は、製紙メーカーの機械の老朽化などのメンテナンスもありましたがそ

れだけでは無い流れが有りました。先ず去年の4月に例年にない大きな売

り上げ減が有りました。機械のフル稼働でそれ以上稼ぐ事が出来ない高止

まりで何十年もやって来たのがイキナリの3割減。その時、何かが始まっ

たと青くなりました。なんとなく様子を見ながら10月、やはり売り上げ

が下がりました。10月は年間売上2位か3位の月です。11月に手に入

らない用紙が出始めて12月に1月から紙代20%の値上げだという通知。

1月になって実際に額面通り値上がりが在って、同時に機械メンテナンス

の年間予定表等が我々印刷業界にも出回るようになりました。そして3月

ペーパーレス法案が出てその全貌が明らかになりました。だいぶ前からス

ーパーフライデー、働き方改革、ノウ残業デイ、副業の推奨など政府は人

々の自由な営みに口を挿んできます。経団連やトヨタに終身雇用の廃止な

どを云わせます。労働人口が減っているのか労働者は余っているのか?大

企業では、大幅なリストラを延々とやっています。そのくせ外国からの労

働者は入れようとします。いま日本では何が起きようとしているのでしょ

うか。ガラパゴスののんびり屋は世界の動きが全然見えていないのでしょ

うか?ドイツで8時間で終わる仕事を日本では12時間かけてやっている

と云います。基本給は経営者が決める給料、残業は労働者が決める給料?

私が30年前にやっていた仕事の質と今を比べると量は凄く増えているの

ですが、労働者の仕事の流れはあまり変わっていないのですね。エクセル

とネット販売が若い女性の仕事を奪ってしまいました。パソコンとネット

は多くの労働者の仕事を奪っています。しかしそこに頑強に抵抗しようと

云うのが将来に不安を抱える労働者です。ペーパーレスとセットになって

いるのがキャッシュレスです。キャッシュレスの割合は韓国が90%、中国

が60%、カナダ・イギリスが55%、オーストラリア・スウェーデンが50%

アメリカが45%、フランス・インドが40%。そして日本が19%、ドイツが

15%です。日本とドイツが極端に低いですね。現金が大好きと云うより確

実な物しか信用していない。70年前に手痛い目に合いましたから。日銀

が発行している通貨は115兆円ありますが、このうちの50兆円がタンス預金

です。いくらゼロ金利だとはいえ、銀行さえも信用していない。あともう

一つ大きな統計が有ります。マイナンバー取得率13%と云う事。ここのマ

イナンバーとキャッシュレスを進めるためのペーパーレスなのです。この

三つを進めるとどうなるか、印刷関連の労働者を他に動かすことが出来ま

す。公務員を大幅に削減できます。レジ係や銀行マンがいらなくなります。

税務署員もいらなくなります。新紙幣を出すことによって50兆円の在り

処を白日の下に晒すことが出来る。マイナンバー取得率13%とキャッシュ

レス19%とタンス預金50兆円に日本人の面従腹背ぶりが窺がえます。しか

しそう計画通りに事は運ぶでしょうか?10年掛けて変わらなかったモノが

そんなに簡単に変わるとは思えません。ネットのバラ色の未来がしっかり

描けないうちに何やら怪しい胡散臭さが垣間見えだしている現状に何だか

祭りの終焉を感じているのは私だけでしょうか?


鬼海弘雄 二つのペルソナ

2019 年 5 月 30 日

先月出た「ペルソナ最終章」と15年前の「ペルソナ」

地続きの様で繋がっていない二つのペルソナ。だと私は思います。

しかしこの断層は、何に在るのでしょうか?

奥山さん 印刷立会い

2019 年 5 月 30 日


来月荻窪titleさんで、始まる「庭とエスキース展」のブックレット写真

集の印刷の立ち会いでおいで頂きました。一日目はみすず書房の方にもお

いで頂き色々なお話をお聞きしました。印刷はデータの段階で殆んど創っ

てしまったので割と簡単でした。b7ナチュラルの黄色と赤がどれぐらい

浮いてくるかが、少し心配でしたが、弁造さんの酒やけの顔にはとても合

っている感じでした。ご飯を一緒に食べて色々な話を聞きました。みすず

書房さんと奥山さんを繋げたのは鬼海弘雄さんです。そういえば「インデ

ィア」は、みすず書房だったでしょうか?鬼海さん、「弁造」を見てから

毎日、朝早くに奥山さんに電話をくれるそうです。色んな事をお話しされ

るそうです。奥山さんを勝手に弟子にしているみたいですね。羨ましいで

すね。アプローチは違いますがお二人は同じことをされて居る様に思いま

す。奥山さんにも云いましたが、私にとって一番重要な写真集は「ペルソ

ナ」です。ストーカーの様に鬼海さんの事を見ています。その鬼海さんが

惚れこんで居る奥山さんが気にならない筈はありません。この感覚の共時

性の様な繋がりながら広がって行く事の不思議さを今感じています。

マロニエ 高木康行 写真集

2019 年 5 月 28 日

アルル国際写真祭で高木さんの「マロニエ」が入選しました。

この本は去年、パリフォトに合わせて売り込みのために少部数作った

物です。いよいよ、出版に向けて漕ぎ出せそうです。

昨日、イニュ日記で書いた「葬儀の写真」は、この本を意識して撮った

写真です。写されない事、消えていく瞬間、敢えて残す行為。

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