デザインのひきだし 33号

2018 年 3 月 1 日 木曜日

今回のデザインのひきだしは卵パックで良く使われている柔らかい

クラフトボール(パルプモールド?)で成型してパッケージされています。

一応この成型したものが表紙になっていて中の本文は、両面テープで

パッケージに貼りつける算段だったようですが、中を開けると両面テー

プの粘着度が弱くて外れています。ここはニカワで留めるべきだった

ですね。でもでも、「デザインのひきだし」ここまで来たかと云う驚きで

即完売だそうです。この本の発売トークイヴェントが火曜日に六本木

蔦屋で在って行って来ました。対談は津田編集長とあの天下のマッチ

こと町口覚さんです。津田編集長はピンクマスター版の時にお世話に

なって、町口さんとは尾仲さんと本山さんの熊本地震の復興支援写真

集でお世話になりました。話のメインは勿論今回のデザインのひきだし

です。私は40分ほど遅れて行ったのでそこの部分はほとんど聞いて

いません。主に町口さんの今までの造本の語りをお聞きしました。

アンゴは、本が台形に歪んでいて上製本です。三代目魚武濱田成夫の

「二万千百九十一俺」では上製本のボール紙の間に厚さ2mmのステン

レスが挟み込んであって持った瞬間意表を付く重みの驚きがあります。

寺山さんの「あゝ、荒野」の特装版の話も面白かった。箱はステンレスです。

厚みは12センチぐらいありました。中に2冊の本が入っています。真ん中

にスペースを開けてそれぞれ青い革と赤い革の上製本。ボクシングの

両サイドを赤コーナー、青コーナーと云います。グローブ自体は赤、

青と云う規定は無いのですが、この上製本の革は、グローブの革を使って

いるそうです。グローブの革をなめしている処はとても限られていて注文を

受けてくれるまでとても苦労したそうです。こだわりを実現させる粘着力は

半端では無いですね。限定50部、一部20万円で売ったそうです。

私ら現場はそれらをやらされる方で、凝った装幀家さんと云うのはどちらか

と云うとあまり係わりたくないのですが、いつの間にかイニュニックは、その様

な仕事ばかり請ける会社みたいになっています。おまけに低価格で。これって

いつか花開く事はあるのかどうかとても迷いながらやっています。でも報われ

ようが報われまいが、まあ「楽しんだからいいんじゃない?」と云う処も有り

ます。問題は外注の職人さんにどうも嫌われてる様な感じがすることですね。

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