生きて帰ってきた男
2015 年 8 月 30 日 日曜日お祖父さんからの出自、戦前の生活、戦争体験、シベリヤ抑留、
結核療養、会社員時代、会社経営、リタイア、シベリア抑留者の
戦後補償裁判。大正の終わりから生活、風俗、社会、人生を
一人の人間の立場から語ったオーラルヒストリー。
目黒さんの「昭和残影」から同じような本を読み続けています。
シベリア抑留は春ごろ石原吉郎さんの「望郷と海」を読んでいるの
ですが、余りの重たさにこれに対してあれこれ言う言葉を私は持てて
いない。昨日写真集飲み会の帰り道、買ったばかりの細見和之さんの
「石原吉郎」をひも解いて、読み始めたら自殺だという衝撃の事実が
判明。一瞬で酔いが醒めてしまった。前の年に2回腹を切っていて、
翌年死んだのが風呂の中で心臓麻痺だといわれていたけど、ある意味
生きるのをやめてしまったのかもしれない。あれだけの経験をして生きて
帰ってきて絶望しなければいけない日本社会とは何だろうと考える。
64万の兵隊をソ連がよこせと言って来たにしろ、唯々諾々と差し出した
事の本音は、やはり怖かったんではなかったか?戦後体制を盤石に
するためにもしばらくは居ないほうが都合が良い。70年前の責任を
うやむやにしたまま、徐々に少しづつ、歴史の中に潜り込むのでしょうか?
「生きて帰ってきた男」これは昨日何かの賞を取ったと報じていました。
これは一気に読めました。面白いし、あの時代が正確に分かります。