オッペンハイマー

2024 年 4 月 1 日

日曜日の 午後1時過ぎの回、池袋グランドサンシャインシネマ、開映

ギリギリに暗い階段をヨタヨタ、駆け上がった。満席だった。爆音の中

原爆開発プロジェクトが始まった。アメリカ中の科学者が集められ、ド

イツとソビエトとアメリカの開発競争が行われ、7月16日の早朝、点火

され実験は成功した。爆発した瞬間、何故か鼻水と涙が流れ始めた。

その後の大喜びのどんちゃん騒ぎは、さして怒りは湧かなかった。ただ

ただ悲しかった。かみさんは、科学者には罪はないと云った。私もそう

思う。落としたのはトルーマンだ。喜んだのはアメリカ国民だ。ノーラ

ンの描き方が姑息だなと思った。オッペンハイマーの苦悩や罪、不遇な

どと言い訳じみた仮託が気に入らない。共産主義やユダヤ人とかいろい

ろな要素をちりばめているけど、正面から大量殺りく兵器と云うものに

向き合ってはいない。誕生から79年。原子爆弾に恋い焦がれ続けてい

る。電気を使う生活の向こうにあるのは原子力発電所であり、そこで生

成されるのはプルトニウム。日本も原子爆弾への思いは強烈にあり、静

かに実験は・・・・・・・・。

大江戸骨董市

2024 年 3 月 27 日

日曜日に有楽町に出かけたら「大江戸骨董市」やっていました。

「見るだけ、見るだけ、絶対買わないから!」と云いながら、

やっぱり買ってしまうのですね。


スウェーデン製 木のお盆。6500円


明治の初め、手書きの銘々皿。3000円。2枚。

「古物商許可証」取って、出店したいなと考え始めています。

ピーター・グリーナウェイ

2024 年 3 月 22 日

渋谷イメージフォーラムで10日ほどかけてピーター・グリーナウェイを

観てきました。「プロスペロー」1991年「ZOO」1985年「英国式」

1982年「数に溺れて」1988年の順番で観ました。音楽はすべて

マイケル・ナイマン。ナイマンによって狂わされて行っている感じもする

けどナイマンは、考えたら執着する情念映画ばかりやっているのですね。

ナイマンは好きです。ミニマルミュージックを始めたのがこの人と云う

のは初めて知りました。この監督の事は全く知りませんでしたが流石に

評判になるだけの狂いっぷりです。もっと若いうちに出会いたかった

監督ですね。70年代から80年代はこのような時代だったなと思います。

映画はやはり画を映すものです。エキセントリックであろうがエロチック

であろうが画だけで完結しているべきと思います。グリーナウェイは王道

の監督だと思います。元画家の人ですものね。つくづく、20代で観たか

った作品でした。

タル・ベーラ ヴェルクマイスター・ハーモニー

2024 年 3 月 11 日

「破壊とヴァイオレンスに満ちた、漆黒の黙示録」と云うのやけど、「サタ

ンタンゴ」と同じように、コメディ?を撮っていると云う印象でした。相変

わらずの長廻し、余波が全身に行き渡って5分の1ぐらい帰りかけたところ

まで引っ張るから、奇妙な脱力がある。暴徒は老人病院に押し入って破壊の

かぎりをちゅくす。床に油をわざと撒いているのか、足元が覚束ない。暴徒

を鎮圧する軍のヘリコプターも至近距離から撃っても撃っても弾は当たらな

い。愚かで滑稽な人間。しょうがないですよね。しかし、タルベーラが56

才で引退と云うのは判る様な気がします。この人の映画は、商業的に成り立

たない。同じようなアプローチなのに「ふうてんの寅さん」は、愉快です。

タルベーラさん、先月日本で映画学校やっていたみたいですね。

奥山敦志さん 林忠彦賞受賞

2024 年 3 月 6 日


北海道の大自然に暮らす男性の人生を写真に収めた、

「BENZO ESQUISSES 1920-2012」が「林忠彦賞」に選ばれました。

北海道の大自然で1人で暮らしていた井上弁造さんが亡くなるまでの14年間

を撮り続けた127点が収められています。戦争などを理由に画家になる夢が

叶わなかった弁造さん、写真集には弁造さんの生活や弁造さんが描き続けた

多く作品が写されています。選考では「弁造さんが遺した絵を通して彼の心

情や思いを読み解いていこうとする斬新な表現」「写真集には詩情豊かでポ

エジーな雰囲気が漂う」と評価されました。

記念写真展は、来月20日から周南市美術博物館で開かれます。

2018年1月に刊行された「弁造」は、私にとっては衝撃的でした。

こんなすごい人がいるのか?北海道の新十津川村で小さな小屋を建てて

一人ぼっちで自給自足しているおじいちゃん。しかしその風貌は、さっぱ

り小ぎれいで洗練された雰囲気を漂わせていた。厳しい自然に対峙しなが

ら十分に生きる事を楽しんでいる。とても可愛い人だと思いました。奥山

さんから直接「弁造」を買ったところから奥山さんとの交流が始まったの

ですが、あれから6年、見事に結実しました。みすず書房から出ている

「庭とエスキース」と合わせて「BENZO ESQUISSES 1920-2012」是非読

んでみてください。弁造さんは、良いですよ。日本の「百万本のバラ」

みたいな。給自足で百姓やりながら、絵を描き続けた。特定のモデルが

いる訳でもない様で、お姉さんなのか母親なのか?女性一般なのか?

凄く素敵な人だと思います。私もあんな生き方がしたいです。

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