トンビと蛸と無花果の木
2021 年 5 月 4 日草刈り機で畑の草を刈っているとトンビに襲われそうになった。鳥の影が
急に大きくなったので振り向くと頭上5メートルぐらいのところまで来て
いた。新参者だとからかったか?人間を襲うとは思わなかった。小動物の
獲物のオーラが出ていたか?黄色と緑の迷彩柄の帽子に反応したかも知れ
ない。市場に魚を買いに行く。生きた蛸が売っていたので2杯買った。1
杯、二千円は高い気がしたけど生きたのを買える機会は、あまり多くない
と思ったので値切りもしなかった。店の人が「絞めとくね」と云ってくれ
たので安心して任せていた。家で袋から出すと大きいサイズの方がまだ生
きていた。さて困った。袋から出すと腕にひじの方まで足を絡ませてきて、
叫び声をかろうじて抑えた。田舎の文化包丁がまた切れない包丁で「ワォ
ー」と思いながら頭を切り落とした。ここでもう台無し。べりべりと腕か
ら引きはがした。蛸の足をしごく様にぬめりを取り続けたけど20分やっ
てもぬめりは無くならない。大鍋に水を張ってその中で足をしごくとぬめ
りが無くなって行くようだ。茹でる前に一晩冷凍にすると柔らかくなると
教わったのでその日はそこまで。自然解凍させて大鍋に湯を沸かして酢を
少し入れて醤油も少し入れて沸騰した鍋の中にそっと入れる。塩は入れな
いと教わった。再沸騰まで待っていたら行き過ぎる感じがしたので少し湯
が動きそうなところでカウントを始める。4分と少しで火を止める。10分
そのままに置いて、蛸を引き上げる。食べたのは二日後でしたがとても美
味しかった。箸を持つ手に絡みつく吸盤の記憶が味に花を添える。
枯れかかった無花果の枝を剪定する。鋸を引くと鮮やかな無花果の実の香り
が鼻を満たす。まるで無花果を食べているような錯覚に陥る。これは果樹の
防衛手段かなと考える。何歳になっても初めてはやはり楽しい。