「いのちの物語」メディア報道
2022 年 11 月 8 日=================================
水俣病撮り62年 写真集 桑原史成さん 集大成刊行=熊本
2022.10.28 読売新聞西部朝刊 ◆2万5000カットから厳選
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水俣病の公式確認から間もない1960年に水俣市に入り、62年間に
わたって水俣病にかかわる写真を撮り続けている報道写真家の桑原史成さ
ん(86)(東京都江東区)が、集大成の写真集「いのちの物語 水俣」
を刊行した。同市で26日に記者会見し、「水俣病のことを教科書でしか
知らない若い世代にも伝わる写真集ができた」と力を込めた。白石一弘
水俣病の被害を伝える週刊誌を見て、23歳の時に水俣を訪れた。感覚
障害で手の指先がいびつに曲がった男性。言葉を発せずにうつろなまなざ
しの少女--。住民らと信頼関係を築き、被害者をファインダー越しに見
つめ、被害の実相を写真で告発してきた。 チッソ水俣工場の排水に含ま
れるメチル水銀が水俣病の原因物質と判明した「ネコ400号」の実験結
果なども撮影。チッソが隠そうとした事実を世に知らせる契機になった。
世界的な写真家ユージン・スミス氏(1918~78年)らに先駆けた第
一人者で、撮影はフィルム換算で約2万5000カットに達する。 写真
集は「胎児性・小児性患者『成長記』」など1960~2022年の8章
と資料編などで構成。カラー7枚とモノクロ115枚を厳選し、水俣病問
題の年表や世界の出来事も載せた。 桑原さんら写真家9人は今春、一般
社団法人「水俣・写真家の眼(め)」を設立。膨大な記録を後世に伝える
活動も始めた。桑原さんは国立水俣病情報センターでの記者会見に伴い、
24時間介護で暮らし、公式確認のきっかけとなった患者の田中実子さん
(69)らを訪ねた。米寿を前に精力的に活動する考えで、「撮ったフィ
ルムが残り、写真は記録になる。それは歴史を撮ることだ」と強調した。
問い合わせは有限会社「くんぷる」(042・725・6028)へ。
写真=写真集を手に62年の歩みを振り返る桑原さん
写真=桑原さんの「いのちの物語 水俣」
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水俣病撮影60年「若い世代に記憶を」 桑原史成さんが写真集
10/31(月) 19:34配信 毎日新聞WEB
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スライドを使い、水俣病を撮った自らの写真について説明する桑原史成さ
ん=熊本県水俣市で2022年10月26日午後2時56分、西貴晴撮影
「公害の原点」といわれる水俣病の撮影を60年余り続けている写真家、
桑原史成(しせい)さん(86)=東京都江東区=の写真集「いのちの物語
水俣」が出版された。桑原さんは「二度と公害を起こさないためにも、
特に若い世代に水俣病を鮮明な記憶として伝えたい」と話している。
桑原さんは島根県出身。東京農大に通う傍ら写真を学び、水俣病の公式
確認(56年5月1日)から4年後の1960年、水俣病を巡る週刊誌の記事をきっ
かけに、熊本県水俣市での撮影を始めた。母親の胎内で水銀被害を受けた
「胎児性」と呼ばれる患者や家族宅をはじめ、被害が相次いだ水俣に通い
続けた。 写真集では、これまでに撮影した2万7000枚の写真から122点を
選び、「1960年代 海と病床」「チッソ水俣工場」「21世紀の展開」など
8章に分けた。「胎児性・小児性患者『成長記』」の章では、患者8人の過
去と現在の姿を対比させ、それぞれが生きてきた時間を通じて被害の歴史
を伝える。 さらに、70~85年に東大で自主講座「公害原論」を主宰し、
公害を通じて社会の在り方を問い続けた故宇井純さんや、水俣病を描いた
作品「苦海浄土」で知られる作家の故石牟礼道子さんの章を加え、水俣病
に関わった人模様にも目を向けた。 写真集の編集を担当した舞台演出家、
白木喜一郎さん(72)=東京都板橋区=は「写真を通じて水俣病が自分と
同じ人間の身に起きたことと感じてほしい」と話す。桑原さんは「写真は
決して風化しない歴史の記録だ。教科書でしか水俣病を知らない人々が増
える中で、公式確認から66年を経た水俣病の全体像を伝えたい」と語った。
B5判、200ページ。くんぷる刊。3300円(税込み)。 【西貴晴】
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熊本県/水俣病「若い世代に伝える」 桑原さん、撮り続けて60年
写真集「いのちの物語」刊行2022.11.03 西日本新聞朝刊
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水俣病患者やその家族を60年以上にわたって撮影してきた写真家、桑原
史成さん(86)=東京都=が写真集「いのちの物語 水俣」を刊行した。
胎児性・小児性患者たちの写真をはじめ、1960年から撮り続けてきた作
品約120点を掲載。桑原さんは「水俣病を知らない若い世代に伝える一冊
として手に取ってほしい」と話している。 (梅沢平)
大学卒業後、報道写真家として駆け出しの頃から水俣へ通い、56年の公
式確認から間もない患者たちの姿を撮り続けてきた桑原さん。これまでに水
俣病に関する写真集を10冊以上出版し、2014年には土門拳賞を受賞。
水俣病の歴史をレンズで捉え続けてきた写真家仲間と21年に立ち上げた
「水俣・写真家の眼(め)プロジェクト」にも参加し、活動を続ける。
今回の写真集では胎児性・小児性患者8人の幼少期から青年期、高齢にな
った現在までの姿を「成長記」として掲載。彼らを取り巻く水俣の暮らしや
風景、今なお続く裁判闘争の歴史を写真で振り返る。
編集を担当した支援団体「東京・水俣病を告発する会」の白木喜一郎さん
(72)=東京都=は「患者一人一人に歴史があり、自分の物語として受け
取ってほしい」。水俣を「原点であり、精神的な聖地」と語る桑原さんは
「写真とは風化することのない記録。後世に残し、伝えていくことに意味が
ある」と話した。 写真集はB5判、200ページ、3300円。アマゾン
などインターネット上の書店で販売している。
問い合わせは、出版元「くんぷる」=042(725)6028。
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報道写真家・桑原史成さんが写真集を出版(熊本)
テレビ熊本 2022/11/04 12:43
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水俣病患者を長年、撮影してきた報道写真家の桑原史成さんが新たな写真
集、『いのちの物語 水俣』の出版に合わせ、先日会見を開きました。
新たな写真集には胎児性・小児性患者の成長の記録や、患者認定を巡り裁判
を続ける人たちの写真などが掲載されています。
会見で桑原さんは「水俣をだんだん知らなくなっている若い世代に伝える冊
子となれば」と写真集への思いを語りました。
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胎児性患者の成長、漁民の手... 水俣病写した記録「後世に」
報道写真家の桑原史成さん 8年ぶり写真集出版
2022.11.05 熊本日日新聞
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水俣病事件を60年以上にわたって撮り続ける報道写真家の桑原史成さん
(86)=東京都=が、8年ぶりとなる写真集「いのちの物語 水俣」を出
版した。胎児性・小児性患者の暮らしぶりや裁判闘争など過去の作品に、
前作以降の写真を加えて再構成した。桑原さんは「水俣病事件を知らない
若い世代に伝えたい」と話している。
▽ ▽
写真集は全8章で、1章は胎児性・小児性患者8人の「成長記」。年を追
うごとに変化する様子を1人ずつ時系列で並べた。「患者も同じ人間だと
いうことを読者に感じてほしかった」という。水俣病公式確認のきっかけ
となった田中実子さん(69)=水俣市=が10~20代の頃に自宅で見せた笑
顔のカットや、半永一光さん(67)=同市=がカメラのシャッターを押す
1枚は印象的だ。漁民の姿を追いかけた2章には、津奈木町の網元だった男
性の変形した手の写真(1970年)を収録。顔の高さまで上げるのが困難だ
った男性の腕を妻に支えてもらい、撮影した。「温かく迎え入れてくれ、
本当にありがたかった」と桑原さん。一家との交流は今も続いている。資
料編もあり、「苦海浄土」などで知られる故石牟礼道子さんの寄稿を再掲。
年表や地図を付けたほか、自身の撮影機材を解説した記事も掲載した。
桑原さんは60年に初めて水俣を訪れ、当時の市立病院の院長から「写真で
一体何ができるのか」と問いかけられた。今も確かな答えは出ていないが、
「写真は記録。後世に残せば、誰かが水俣病事件を伝えてくれる」と信じ
ている。10月下旬、水俣を訪れて胎児性患者らに出版を報告した。加賀田
清子さん(67)=同市=は「久しぶりに会えてうれしい。懐かしい写真が
たくさんあった」と話した。B5判、200ページ。3300円。
問い合わせは、くんぷる(東京)〓042(725)6028。(上野史央里)
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桑原さんから「いのちの物語」の出版に関する各メディア報道の記事を
送って頂きました。忘れてはいけない、語り続けなければいけない、蔑ろ
にされた「いのちの物語」です。しかし、蔑ろにされながら懸命に生き続
ける「いのちの物語」でもあるのです。