現代の戦争

2015 年 6 月 24 日

チョムスキーが語る戦争のからくり  平凡社

たまたま並行して読んでいるもう一冊が「日本残酷物語」で

やはり平凡社です。日曜日の新聞の書評欄に下中さんの本を

中島さんが書いてやはり平凡社から出していて、急に存在感を

出してきています。もっと平凡で凡庸なところかな思っていました。

それで、ノーム・チョムスキーさんです。昨日のうりずんの雨の

ジャン・ユンカーマンさんがチョムスキーのドキュメントを撮っていて

当代随一の戦争と謀略と宣伝工作の目利きです。マサチューセッツ工科

大学の教授にして、西側諸国のほとんどの政府とマスコミに嫌われている

ひとです。それは何故か。世界で起きている破壊工作が誰によってなされ

ているか、誰が黒幕でその途上国の誰に資金と武器を渡して混乱と殺戮が

なされているか、事細かく知っているし、いろんなところで発表している

からです。先ず、冒頭第二次世界大戦以降、5000万人から5500万人の

人たちが西側諸国の植民地主義のせいで殺されています。コンゴでは

ごく最近1000万人近い人々が殺されました。準軍事組織ミリシアによって。

バックで誰がお金を出しているのか、多国籍企業群、政府軍ハッキリ

判っていません。西側植民地主義の国々は共産主義が嫌いです。

途上国で起きそうになると、まず首謀者の暗殺を企てます。それが無理

だったら次にその国の身勝手で自分たちだけ良かったら、人を殺すのも

何とも思わないような人たちのグループにお金と武器を渡します。最近は

共産主義だけではなく、人口増加と温暖化を懸念して世界中の人間の

間引きも行っているのかもしれません。アラブのジャスミン革命は世界を

牛耳る人たちにとって、大きな事件でした。ネットによって曝された自分

たちが知りえなかった世界の現実。遠いあらゆる人々を結びつける世界

からの言葉。世界市民、地球国家の誕生を予見させる大きな兆しでしたが、

国家という枠組みがあることで裕福さを享受できるその国家の支配者にとって

とても都合が悪いことです。コンピュータ技術の飛躍的な発達によって労働

力は大幅な削減が出来ます。人間がいらない世界になろうとしているのに

逆に医療技術の発達によって、人口は増え続けています。労働力の

価値がどんどん下がって行くという中で出てきたのが派遣法だし、徴兵制に

繋がる18歳選挙権だと思います。アジア人はアジア人の中に隠せ。

日本の軍事力が必要なのではなく、この黒い髪と黄色い肌が必要なの

かもしれません。ボコハラムはナイジェリアで黒人だし、ISISはシリアで

イスラムです。オバマさんのお父さんはケニアで諜報活動をやっていた

現地の工作員だそうです。それだけではなく、父が死んだあと母親は

インドネシアの陸軍将校と結婚してインドネシアに行きます。オバマが

インドネシアにいた時は、大虐殺の時代で2・3百万人の人々が殺され

何百万もの行方不明者がいて川には死体が積みあがっていてレイプが

横行し、教室では軍人が授業をしていた時代。オバマさんは基本的に

完全なる極右の人です。でも、人が良さそうに見えますよね。

ラテンアメリカは総じて良くなっているそうです。特にキューバが素晴

らしい。キューバの医師の腕は世界最高レベルです。西側の薬などが

手に入らないので技術などで補うしかないのです。

世界中で災害があったら、キューバの医師は駆けつけます。

そして都会ではなく、一番困難な地方の一番貧しい所へ駆けつけるそうです。

その意志姿勢、チェが生きていると思いました。それが、ラテンアメリカに

繋がっています。

18歳の諸君、来年から選挙権が与えられます。選挙の前にはテレビ新聞などの

いう事をよく聞いて、その意味をちゃんと忖度して行動しなければいけません。

たとえば、去年の暮の選挙、選挙の前2週間ぐらい前から「今度の選挙は意味が

無い」という大合唱が沸き起こりました。意味が無いものに行くほど浮遊層は

暇じゃない。こういう時は、大意をくみ取って棄権するのが大人の知恵です。

沖縄うりずんの雨

2015 年 6 月 23 日

岩波ホール ジャン・ユンカーマン監督

4月1日、アメリカ軍が沖縄本島に上陸して今日6月23日まで

ずっと梅雨で雨が降っていたのです。正確には沖縄の梅雨が

明けるのは6月のはじめなので、今の時期はもう雨は止んでるのでしょう。

あー、あの雨の中を地獄のような死闘が行われていたのです。

胸が塞がれます。雨はいろんなことを困難にし、いろんな力を

奪っていきます。あれが雨の中で行われたことだという事に思いが

至りませんでした。雨だろうと晴れだろうと地獄は地獄なんですけどね。

山西省から来た元軍人。95年に6年生の少女をレイプして殺した

犯人の一人。アメリカ軍として戦った元軍人。集団自決を生き延びた人。

山西省から送られて来た軍人は中国でやったことと同じことを沖縄でやって

しまった。様々な人々の証言を元に沖縄の70年が語られています。

殺され続けられる沖縄の心。踏みにじられる沖縄の身体。

歴史を教わってこなかった若い人たちがぜひとも見るべき日本の現実です。

土曜日の11時からの上映で見ました。少し遅れて入ったので、ジャン・

ユンカーマンさんの舞台挨拶は聞けませんでした。終わると場内から

拍手が沸き起こりました。ユンカーマンさんを意識しての拍手だったかも

しれません。判らないわけじゃない。でも何か、ムカッと来ました。私だって

そんな資格のない人間ですが、沖縄の現実の前に作品の出来ですか?

と。作品はもちろん、素晴らしいです。

ジャン・ユンカーマンさんがチョムスキーさんの映画を撮っているの知っているし

戦争の悪を世界に知らしめる戦いをずっと続けている事も知っています。

でも、なんだか思った。沖縄の心を踏みにじり続けているのは、拍手する

全共闘のじい、ばあだし、見て見ぬ振りする私なんだろうなと。

狗賓童子の島

2015 年 6 月 17 日

狗賓童子の島 飯嶋和一著

1837年から1868年までの島根隠岐の話。

初めての飯嶋和一の本。時代劇はあまり読まないです。

話の筋は大体判りますしどんな事件があっても知っているもの

ばかり、時代劇でフィクションになったら、それは時代劇とは

言えず、基本見聞き知ったるあの時代のながれの範疇での

物語になります。でも、これを手に取ったのは大塩平八郎の乱で

あるという事、話が民百姓の物であるという事。結構時間がかかって

しまいました。退屈だったけど面白かった。改めて歴史の勉強に

なりました。一般に時代劇は侍と維新と太閤記が時代劇3題演目と

なっています。百姓や悪徳商人の話はほとんど演目には上がりません。

取り扱うのは落語ばかり。

大塩平八郎の乱と云うのは教科書の中でしか知りませんでした。

旗本でありながら救民を旗印に貧しい農民のために幕府に対して

反乱を起こした。大塩平八郎を師と仰ぐ近隣の富裕な庄屋なども

参加しその中、河内の西村履三郎の息子、常太郎がこの本の

主人公。実際は1837年から1868年と云う時間、歴史の流れが

主人公であります。狗賓童子の狗賓とは天狗の別の言い方で、

島流し遠島、隠岐の島に伝わる島独自の立法ともいえる約束事を

云います。医師として修業を積む常太郎の目を通して清々しい

島の住民たちの生活や塗炭が伝えられます。農民や漁師の生業が

どの様なものでありどの様な階級仕組みでその生活が成り立っていた

のかなんとなく判ります。余りこの辺は教えてくれないですからね、

学校では。昭和に入ってからの現代史と江戸時代の民衆生活は、

ほとんど教えてくれません。とても都合が悪いのでしょう。

此処に書いてある30年は特に幕末に向かう一番時代が動いた

維新の時代です。今まで散々聞かされてきた維新とは少々違う

ようなことが垣間見えます。まず大塩平八郎の乱のときに鎮圧

したほうも反乱したほうも鉄砲がさび付いていて使えなかったと

いう事。ここの情報は重要で3%の武士階級が97%を抑え込む事が

出来たのはひとえに鉄砲があったからです。これがばれてしまった。

この後一揆や打ちこわしが多発した一つの要因に考えられます。

でもすぐに新品を買い揃えたのでしょうが。

話は違いますが坂本龍馬の懐手が嫌いです。あれは短銃を

いつも持っていて、いつでも撃てるんだぞと云うポーズで

武士としては卑怯です。

それから外国船が一杯立ち寄るようになります。その外国船は、

病原菌を持ってきます。ずっと鎖国をしていた日本は、ある意味

ブラジルの原住民と同じです。ブラジルの奥地で文明と接触の

なかった原住民たちはそのほとんどが入ってきた文明人の病原菌に

殺されてしまいます。それと同じことが幕府崩壊の江戸末期に起こり

ます。そこで起きるのが攘夷です。攘夷とは外から来る敵を打ち払う事

です。尊王攘夷とセットで思想運動として云われるようですが、本当の

所病原菌じゃないのかなと思います。外国船がウロウロしだした

ところで、国境最前線の九州、長州がいち早く反応します。山口は

気の短い人が多いです。最前線だからです。米、英、仏、蘭と下関戦争を

始めて負けます。列強4か国に莫大な賠償金を払います。大阪の商人に

借りたそうです。ほとんど長州藩崩壊位のの金額です。それがいつの

間にか、軍艦や鉄砲、大砲一杯持って江戸幕府に戦いを挑みます。

どこからお金出てきたのでしょう。いつだって我々民衆には本当のことは

教えて貰えません。実際に起きたことを歴史と云うのではありません。

プライドが保てる物語を歴史と云います。日本の場合。

蝉にたくして

2015 年 6 月 17 日

今日も暑くなりそうですね

と 夏を感じる蝉の鳴き声

朝のまばゆい光の中を

今日も変わらず響き渡る

七日のいのちを燃やすため

光の中へ出て行った

八月に生まれ 八月に終わる

生きてるあいだは鳴くのです

八月のなき声は蝉にたくして

悲しみも悔しさ蝉にたくして

あの日もきっとこんな朝

光の中へ出ていった

八月に終わり 八月に誓う

生きてるいのちを抱きながら

八月のなき声は蝉にたくして

悲しみも悔しさも蝉にたくして

「にじみ」 二階堂和美(広島在住)

アラヤシキの住人たち

2015 年 6 月 16 日

「アラヤシキの住人達」 中野ポレポレ座

「みんなの学校」 渋谷アップリンク

2週続けて同じようなタイプの映画を観てきました。

かたや大阪南住吉の公立小学校。アラヤシキは長野小谷村の

自労自活の共同学舎。共通するのは今の社会のサイクルに

適応しづらい人、精神的にストレスを感じてしまう人たちを受け

入れながら、共に学び共に支え合おうと云う精神で運営されて

いることです。

「みんなの学校」は先生風の人たちが多かった。みんな静かに見て、

終わると黙って下向いて出て行った。小学校の教師をしている姪は

去年観たそうで、あそこまでやったら大変、授業が進まへん、

ていうてました。やはり効率を第一に考えている。最初のうちは、

自分の小学校時代の事を思い出しながら、結構感動しながら、

山口先生の事を思い出しながら、ぽろぽろ泣きながら見ていたけど、

途中から、一般の子どもたちはどうなんだろうなと思い始めた。

強力な校長先生や教師たちの強制に普通の子どもたちは、素直に

心から従っているのかな?問題がある子と強制的に関係を切り結ぶ

というのは無理です。ちゃんとした関係にはならない。そこにお互いを

慈しむという気持ちが無いと本当の関係では無いと思います。

問題が起きた時、さっと教師の周りに集まって問題点を聞く。その時の

速さがよく訓練された、少年兵の様だった。これが教育という事なので

しょうか?自発を促すというという感じではなかった。うちの家庭教育が

軍隊的であり、禅寺的な修練を基本と考える家だったので、強制の感じが

有ると小さなことでも反発心を持ってしまいます。

アラヤシキの住人は気持ちの良い人たちがいっぱいいて楽しそうな

家でした。私はこのような生活がこれから起きる日本の未来での普通の

生活様式になるのだろうな考えています。地方の山村で第一次産業に

従事しながらの自給自足で集団生活でお互いを支え合う。その時親族と

云う血が必要なのか、同じ戒律で生きる宗教がまとめるのか、宗教でも

出入り自由で労働力だけがその対価だったら別に問題ないかもしれま

せんが厳しすぎる戒律は、門を狭くしてしまいます。支え合う、助け合う

という理念だけで続けられるほど人間は崇高にできていない。

首長の宮嶋さんは、創設者の息子さんです。辛抱強い忍耐力を

お持ちで、良きリーダーとしての資質を十分にお持ちのようでした。

「あなたという人は地球始まって以来、絶対いなかったはずです。」

自信を持って生きてこれなかった人たちにエールを送る姿もまばゆいけど

ゆるいけどちゃんとした関係を持とうとする姿勢こそが、日本が切り捨ててきた

大事なものを思い起こさせます。今ここでこの「アラヤシキ」をノスタルジックな

郷愁と考えるのではなく、外部に開きながら、新しい血が常に入れ替わっていく

世界とつながりながら地域の特性を守っていく。

新しい集団生活の実践場として協働互助の精神が実現できれば素敵だなと

考えました。

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