生きるとか死ぬとか父親とか

2018 年 7 月 10 日 火曜日

父親の事、母親の事、親戚の事、父の愛人の事、年寄りを看るという事。

どうしようもなく受け継がれたサガ。新聞書評三誌に同時に載っているだ

け在って、痛快な語り口にめくる手が停まりません。十分にキャラのたっ

たお父さんです。母親の胃薬が手放せないほど若いころからの放蕩に、交

情を知っているはずの親戚一同、憎らしいのに構ってしまうジェーンスー、

80歳になろうと云うのに愛人の影の一人二人。すげー皆に愛されているの

ですね。色んな事が在ったそれぞれの来し方の終焉付近、本当に最高の親

父ですね。どこかに連れて行けという父を観光地に連れ出してもペンギン

みたいによちよち歩く父親に苛立った事が私にもありました。そんな無様

な父をみたくないと云うのは、厳しく躾けられた人ほど思う事。特養では

足のつめは殆んど切ってくれないと云うのは、慌ただしい介護では、殆ん

ど気づかない事です。ある日風呂上がりの母の爪を見て内側に巻かれて手

の施しようが無い状態に慌てふためいた事も有ります。本を読んでいたら、

一つ一つのエピソードから我が家の回想にシフトするのですが、それでも

江戸前の語り口は、読み手を勝手にはさせません。面白いです。

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