土地に根づく

2011 年 4 月 22 日 金曜日

卵子が精子を受精してだんだん大きく胎児が成長していく過程は、

地球上の生物の進化の歴史をそのまま体現しているらしいです。

魚、オタマジャクシ、両生類のような形態から恐竜、鳥、哺乳類と

形を次々と変えていき、最後に人になる。つまり私たちの体の中にいろんな

動物たちの遺伝情報が残ったものとして生きているのですね。

なるほど干支があるのは、そのせいなのだと合点がいきます。

昔、田舎で一人暮らしを続ける父に何度か東京に来て一緒に暮らさないかと

言ったことがあります。新聞も取るのをやめてしまい、テレビも見なくなった

ようで、じっと昔だけを見つめ続ける姿にいたたまれなくなったためです。

「東京に何があるんだ」と云いました。ゴールデンウィークでした。

窓辺に立ちさっと窓を開けると竹林が5月の風に大きく揺れていました。

「朝起きて窓を開けるとな山が風に揺れているんだ。

あー、ありがたいなと思うんだ。この場所で外を見たり風に吹かれたり

お日様に焙られたり、ただそれだけでいいんだ。

私は、もうここの土地とひとつになっているのだよ。」と云いました。

今は、その言葉が理解できるのですが、当時はその重要性がよく呑み

込めなかった。人間は動物だけの遺伝子を持っているわけではなく、植物の

遺伝子も持っているのかも知れません。

相田さんの根っこを張ると云うのは比喩のようなものだと考えていましたが、

事実なのでしょう。動物として若いうちは動き回っていても「よし、もうここで」

と決めたら植物になって行く。生命維持の活力をその大地から取り入れる。

20キロ圏内封鎖を聴いて土地を離れると云う事を考えましたが、単純に

「お金払うから引っ越しして」などと云うようなものではないと思います。

光と闇

2011 年 4 月 19 日 火曜日

節電の影響で東京の夜の街はやさしい暗さに沈んでいます。

煌々と照らされた夜の明るさは、いつまでも私たちに緊張を

強います。目の攻撃から閉ざされた闇の時間は、熟成の時間であり

慈しみの時間でもあります。

暗闇が心を穏やかに開放していく様に思います。

暗い東京も悪くないです。

さてRGBは、光の三原色。CMYは、色の三原色。CMYにキープレートの

Kを足してCMYKとなります。このキープレートの版には、普通墨(黒)を

使い濃淡や輪郭を表わします。

RGBの100%をすべて足すと無色透明になり、CMYの100%をすべて

足すと黒になります。このようにRGBとCMYKは、色の表現の仕方が

全く異なります。デジタルカメラ、テレビ、パソコンモニターは、RGB。

紙に印刷するときはCMYK。RGBとCMYKの表現の領域も違います。

CMYKのほうが狭い。デジタルカメラで撮った画像をパソコンに取り込み、

編集色調整し印刷会社で印刷します。するとイメージしていた色と全然違う

色で上がって来る場合があります。フォトショップでRGBをCMYKに変換して

色補正をしても見ているモニターの色はRGBです。モニターの色は光で表現

されているので少々暗い写真でも、輪郭や細部も割とはっきり見えます。

これを印刷にしますと暗い写真になります。このモニターの色の感じと実際の

仕上がりの差は、何回も経験を積まれると感覚的な違いを予測できるように

なるのですが、経験が浅い場合はどうしても掴むことができないと思います。

そうした場合、予めどのような仕上がりになるのか、確認するために簡易校正が

あります。簡易校正は印刷に携わる業界の者がほとんど使用する、とても正確な

色見本です。本紙校正をお考えのお客様もまずは、簡易校正で大体のあたりを

つけられることをお勧めします。

私たち印刷屋は、お客様から支給されたデータを忠実にまた正確に印刷する

ことを使命としております。画像色補正のソフトをお持ちでは無かったり、自信の

無いお客様には画像補正サービスも承っております。

「光と闇」 タイトル大きく出た割にはしょぼい話に終わってしまいました。

薄暗い東京の夜を歩いていると映画「第三の男」を思い出します。光と影を

巧みに使いいろんな闇を演出している。

福島県

2011 年 4 月 15 日 金曜日

福島県の白川、羽鳥湖には20代の頃、バイクレースでよく

通いました。当時はオフロードバイクに乗って野山を走り回るのが

趣味でした。チェリノブイリの事故があった4月の終わりゴールデン

ウィークの後半は、ツーリング仲間と富士山の周りをキャンプしながら

走り回っておりました。その間ずっと雨が降り続いており、ゴーグルから

下は、雨に打たれ続けていました。

休日の終わり、私とかみさんの目から下は、黒く日焼けしたようになって

皮がぼろぼろに剥けていました。雨の中に放射能が混じっていたのだと

後悔しましたが、仕方ありません。でもやはり気になります。

それなりにいろいろと本を読みましたが、なかなか良く解りませんでした。

上の図は、毎朝新聞で知らされる各地の放射線の量です。

1時間当たりの放射線量が書いてあるので、これに

24×365=8,760時間 約10,000倍すると1年間の浴びる

放射線の量がわかります。

日本では、一年間に浴びてもいい量は1ミリシーベルトなので

上の図で0.01以下は一応安全と云う事になると思います。

でもその浴びても安全と云う数値を勝手に5ミリだ10ミリだと

あげて行くから、疑心暗鬼になって行くのだと思います。

短時間だったら、原発のすぐ近くでも大丈夫そうだし、

放射能の種類が違うのかも知れませんが、秋田の玉川温泉

の岩盤浴のところは、毎時2マイクロシーベルトなので、年間

20ミリシーベルトになります。

避難さきで福島県の子供が放射能が移ると毛嫌いされているそうです。

でも人間の体は放射線を発したりしないと思います。

夜更けの障子に映る、風になびく柳の枝とおんなじで、実体の

見えないもの程怖いものはありません。ちゃんと事実を正直に

伝えればいいのに。

被災してやっとの思いで避難してきて、それでおんなじ日本人に

つまはじきにされるなんてこんな惨い仕打ちはないように思います。

私は昔、自然食、農薬反対派でした。農林事務所に勤める義父は

兼業農家で、季節季節の米野菜を貧乏な私たち夫婦のためにいつも

送ってくれました。しかしそれは、農薬が少ないながら使用されている

ものでした。少し考えたけど、徐々に農薬のことは、考えないことに

して行きました。

勿論、放射能を農薬と同じだとは、思いませんし、原発に群がって

しのぎにしている人たちを仲間だとは思いませんが、命からがら

逃げてきた人たちは、間違いなく私たちの仲間です。

紀伊国屋書店 リトルプレスフェアー

2011 年 4 月 14 日 木曜日

グラフィック社、石川理恵さんの「リトルプレスをつくる」が刊行。

上の写真の「母と子鉄の鉄道おさんぽ帖」はライターの石川さんが

実際にイニュニックに注文していただいて制作したもの。

その注文過程やいろいろな打ち合わせ、質問などを「リトルプレスをつくる」

の中で体験的実践リトルプレス出版として書いておられます。

この中でイニュニック大失敗をしてしまいました。最終加工では四方の

角丸でした。小口の角丸は問題なかったのですが、中とじのノドの

ところがきれいな角丸になりません。ヴァンヌーボと云う用紙の

せいだと思うのですがどうしてもほんの少し紙が剥けてしまいます。

最終的に販売のご予定とお聞きしていましたので、問題が発生した旨を

お伝えし小口の2箇所のみの角丸と云う事で了承していただきました。

全体のデザインから四方の角丸のほうが絶対素敵だと私自身も思ったので

何とかしたかったのですが、敵いませんでした。絵本のような分厚く硬い

紙だったらよかったと思います。つくづく一期一冊だと思います。

こんな失敗しているのに奥付の監修協力のところに(4章印刷・製本)

イニュニックと入れて戴いてしまった。冷や汗ものです。

ありがとうございました。

今週の土曜日、4月16日から5月15日まで紀伊国屋書店新宿南店で

全国各地よりお勧めのリトルプレスを集め展示販売フェアーが催されます。

弊社のお客様の本もいっぱいあれば嬉しいなと今から楽しみです。

新しい表現や、それぞれの強い想い、こだわり。

小さいが故に自由であり、シンプルで、個性が際立つ。

今は小さいモノのほうが届き易い。

紀伊国屋書店の店員の方々からのご注文。

編集やデザインのレベルが高い。

しかしそれにしても手から手へ具体の力が大きく復活した

感じがします。

ひと月

2011 年 4 月 13 日 水曜日

朝、新聞読んで泣き、夜ニュースを見て泣く

朝、新聞読んで泣き、夜ニュースを見て泣く

そして、時々地震でふるえて、また次の日も

朝、新聞読んで泣き、夜ニュースを見て泣く

私はどうしようもない馬鹿です。

どちらにしろ生きて行くより手が無いのだったら、

気持ちを切り替えて早く命を滾らせれば良いものを 

こちらからも同じぐらいのモノを差し出さなければ

いけないような 申し訳なさ後ろめたさを感じています。

弱った命に元気を注入するには、こちらからその元気を

送らなければならないのは、あたりまえのことなのですが・・・・・。

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