土地に根づく

2011 年 4 月 22 日 金曜日

卵子が精子を受精してだんだん大きく胎児が成長していく過程は、

地球上の生物の進化の歴史をそのまま体現しているらしいです。

魚、オタマジャクシ、両生類のような形態から恐竜、鳥、哺乳類と

形を次々と変えていき、最後に人になる。つまり私たちの体の中にいろんな

動物たちの遺伝情報が残ったものとして生きているのですね。

なるほど干支があるのは、そのせいなのだと合点がいきます。

昔、田舎で一人暮らしを続ける父に何度か東京に来て一緒に暮らさないかと

言ったことがあります。新聞も取るのをやめてしまい、テレビも見なくなった

ようで、じっと昔だけを見つめ続ける姿にいたたまれなくなったためです。

「東京に何があるんだ」と云いました。ゴールデンウィークでした。

窓辺に立ちさっと窓を開けると竹林が5月の風に大きく揺れていました。

「朝起きて窓を開けるとな山が風に揺れているんだ。

あー、ありがたいなと思うんだ。この場所で外を見たり風に吹かれたり

お日様に焙られたり、ただそれだけでいいんだ。

私は、もうここの土地とひとつになっているのだよ。」と云いました。

今は、その言葉が理解できるのですが、当時はその重要性がよく呑み

込めなかった。人間は動物だけの遺伝子を持っているわけではなく、植物の

遺伝子も持っているのかも知れません。

相田さんの根っこを張ると云うのは比喩のようなものだと考えていましたが、

事実なのでしょう。動物として若いうちは動き回っていても「よし、もうここで」

と決めたら植物になって行く。生命維持の活力をその大地から取り入れる。

20キロ圏内封鎖を聴いて土地を離れると云う事を考えましたが、単純に

「お金払うから引っ越しして」などと云うようなものではないと思います。

上へ