ボンサイ、ポータビリティ。

2006 年 10 月 27 日 金曜日

一期一盆栽と固く誓っていたのですが、先日のお師匠さんの上京で、教授して貰いながら、思いのほか沢山のミニ盆栽を植えてしまいました。冷静になってよく考えたら、ミニ盆栽は水はけが良いので、毎日、朝晩水遣りをしなくてはいけません。普段の生活なら問題ないのですが、正月の帰省など家を長く空けるような場合には、彼らはみんなしょぼくれてしまいます。そこでドコニデモ持ち運べるように、岡持を造る事にしました。新幹線に乗っても周りの乗客に「あのラーメン屋さん、新幹線で出前なんかしてる、クックック。」と笑われないように上手に造らなければなりません。これがなかなか難しくて、まだ未完成です。

しかし、これでは盆栽持ち運び制度ではなくて、ただの盆栽キャリーですね。いっそのことミニ盆栽を街に放ってみようかな。その方が「あのラーメン屋さん、クックック。」なんて笑われなくても済むし、もっと美しいものが見れるかもしれない。

書籍偏愛主義

2006 年 10 月 24 日 火曜日

「横浜に最大級の大型書店、開店。1,000坪で55万冊。」と新聞の広告に見つけて、ちょっと慌てたのですが、ジュンク堂のホームページを見ると、池袋店は、2,001坪(10F)で150万冊。「大丈夫、まだうちの方が大きい」と胸を撫で下ろした土曜日でした。

池袋で唯一自慢できるものがあるとすれば、ジュンク堂を置いて他はありません。ありとあらゆる専門書を揃えております。店員の方も、よく勉強されていて、地味な作家の事でも、すぐ答えが返って来ます。

日曜日の午後は、バックにクッキーとお茶を入れて、ジュンク堂まで散歩です。新刊をチェックするのも大切ですが、カバーを開けて表紙の用紙や見返し、扉等を調べて、その手触りや佇いを見るのも楽しみの一つです。センスのいいブックデザインは、ほんとに勉強になります。ですから、バターの多いクッキーは厳禁です。本を汚してしまう。「人は見る事によって、その欲望を増殖させる。」とは、羊たちの沈黙の中で、レクター博士が彼女に与えたヒントの言葉ですが、ここにいると全くその通りだと思います。ですから私は、アマゾンは苦手です。

穂村弘氏の「にょっ記」。こんな日記を書きたかった。

「盆栽」

2006 年 10 月 17 日 火曜日

年とともに、遊びの好みも変わって来まして、今までは、アウトドア系のスポーツが好きだったのですが、最近は専ら休みの日曜日に鉢植えを作ったり、小品盆栽を賞でる日々であります。

昨日は、樹木医の一次試験に見事合格して、研修を受ける為に東京にやって来た、山本ヒロミさん(友の奥さん)と大宮の盆栽村に行って来ました。「高いお店に行って完成した鉢を買うより、大宮や川口で安い苗を買って、自分で育てるのが、本来の盆栽なのよ」と論されたので、先生に案内して貰い乍ら、ご教授を賜る事となりました。有名な清香園を見学して、鑑賞の仕方、育て方(ここをこう縛って、この枝をこっちに引っ張って、そうしておいて、三年目の7月25日になったら、この枝をばっさり切り落とす。)よく解りませんが、なんとも恐ろしい世界です。彼女の名誉の為に言い添えますと、彼女の方法は専ら自然流で、鉢を傾ける方法で、形を造って行くそうです。

清香園を出て、次のお店へ向かう途中、車の助手席からヨロヨロしながら降りてくるおばあさんに道を尋ねられました。「この辺に新しくできた、ケア施設を御存じありませんか?見学に来たのです。」この辺の地理の事は皆目解らないので、近くの「四季の家」の案内所へ行って事情をはなすと、職員の人は、急いで向かってくれました。おばあさんに地図を示し乍ら教える二人のそばで、運転席の息子らしき人は、どうして降りてこないのだろうと思っていました。車は新潟ナンバーです。おばあさんより息子さんに話した方が、話は早いのですが、息子さんは、凍ったように動かないで前を向いたままです。そのうちに職員の人は、運転席の方へ廻って息子さんに説明し始めました。息子さんが冷たい人でないのは解ります。車を止める場所が少し中央よりで、十分に助手席のドアをあけて降り立つ事ができるように広くとってある。いつもの事で習慣になっているような感じです。でも、疲れ切ってしまっているようです。私は、おばあさんが反対する息子さんを強引に口説き伏せて、今のきつい状況を終わらせようとしているのだと思いました。子どもの幸せを願わない親はいないし、そして今の状況を一番良く解っているのも親なんだと思います。つらい情景でしたが、確かな情愛がそこにはありました。

シュールな感応

2006 年 10 月 1 日 日曜日

上野にダリ展を見に来たのですが、あまりにも外の行列が長かったので、気が億劫になってしまい、空いているベルギー展に入る事にしたんです。でもベルギー展は、これと言った感想はありません。

唯一の収穫は交番の前で、睥睨するおまわりさんの下半身が、シュールリアリズムな方向へ回転し始めた瞬間を目撃できた事ぐらいです。

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