先回りと寄り道

2005 年 10 月 22 日 土曜日

若い頃、デ・ジャヴをよく経験していました。デ・ジャヴだと言う事が、分からなかった時までは、私には予知能力があるのだろうかと、思っていました。まあ、正確には、予知能力ではなくて、既知能力と言うような感じなのでしょうが。デ・ジャヴとは、認識と記憶の順番が逆になってしまう頭の中の現象です。(病気?)

初期アルツハイマーの症状を見せ始めている母と話していると、同じことを、何回も話します。多分話したことを記憶する回路が塞がれている為に、何を話そうかと思った時に、前頭葉の右側にポツンと取り残されているその話を、話題にしてしまうのではないだろうかと思われます。そういう時は、相手に深く考えさせないで、おもしろ、おかしいテンポのいい話題を次々に話して、朗かな気持ちにさせることが一番です。すぐに元気にもどります。

人の先回りしてまで、早く、何処に行き着こうなんて考えるより、寄り道ばかりでも、楽しんでいければ、それに越したことはありません。

鬼子母神祭り

2005 年 10 月 18 日 火曜日

10月16、17、18日は鬼子母神のお祭りです。

3日間、竿燈を先頭に、太鼓と鐘を打ち鳴らして、池袋を練り歩きます。昨日、一昨日と合憎の雨で、雨の上がった今日は、ウップンを晴らすかのように、太鼓に熱が籠っています。

イニュニッキに載せようと写真にとり、帰りながら「さて、なにを書こう」と考えていると、目の不自由な同じマンションの方が信号で立ち尽くしていらっしゃったので、「家にお帰りでしたらご一緒しますよ。」と声をかけて、肘を持って貰って歩きだしました。

音で風景を読む方にとって、毎年のこの時間は、大変お困りではないでしょうかと、話を向けると、「皆さんがお祭りでウキウキした空気も感じるので、やっぱりお祭りは、いいものですよ。」とおっしゃっておられました。

私の肘を持つ力も、蝶の羽根を持つかのごとく、軽やかに動かれます。100m程、一緒に歩いただけですが、私なんかより遥かに、たくさんの事を感じられているように思われました。

70才からのパソコン

2005 年 10 月 15 日 土曜日

松田さん。近所の元大工の棟梁です。2年前初めて、会社に見えた松田さんは、「ヨォ!自費出版てえのかい?本を造りたいんだけどヨォ、造ってくれるかい?」とおっしゃいました。「原稿を拝見できますか?」とお聞きすると「オレがね、自分で打ったプリントがあるんだけど、それを刷ってくれればいいよ。」70才からパソコンを始めて、今年74才です。松田さんの口ぐせは、「オレはよう、小学校しか出てねえんだよ。」でも松田さんの鞄の中には、いつも美術評論の本や、青土社の本などが入っています。今回の本は、「A5判、240P,上製本仕上げ。」データで入稿してくれました。

松田さんの文章はイキです。品格があります。

これで値切り倒さなければ、カッコイイ爺さんなんですが‥‥。

浅草、どぜうでバースデー

2005 年 10 月 10 日 月曜日

鬼海弘雄さんの写真集「ペルソナ」(これはすごいです)を見た時から、浅草が気になっていました。今回、嫁の両親の上京に合わせて、皆で「浅草」と「どぜう」を堪能して来ました。

駒形どぜうで案内された小部屋は、昔のこの家の仏間らしく、なんと観音扉を開くと、本当に仏壇があります。しかも近所のアサヒビール(株)のお供えもありました。皆んな初めてだと言うどぜう鍋を食べ、私は年の数だけ(なんのこっちゃ!)。仏壇に手を合わせてお礼を言い店を出ました。どぜうはおいしいです。

連休のせいで混雑した仲見世通りを、歩いていると、何故か妙な感じです。明らかに外国の人達(ヨーロッパ、アフリカ、南アメリカ)だと思える人々が居るのは、解るのですが、他の日本人だと思い込んでた人々も、実は、ほとんどがアジア系の観光客なのです。

日本の町を歩いていたつもりが、いつのまにか違う国の雑踏に迷い込んだような感じに、思わず「ザワッ!」。

本当に、日本の国際化が進んでいるのだなと、実感しました。

ギャチュンカン

2005 年 10 月 2 日 日曜日

この本は、登山家、山野井夫妻の登山の話です。

一般には、あまり知られていませんが、ソロでなら今、世界でも最強ではないかと思われている登山家です。

去年、本人が出した本の中にも「ギャチュンカン登山」の話があり、それを読んでいたので、どういう内容かは、知ってはいたのですが、今回、沢木さんが書かれたこの本は、さすがにプロのノンフィクション作家の仕事だけあって、迫真の描写に読みながら脂汗のようなものをかいていました。

山野井泰史さん妙子さんは、鉄人のような意志と体力を持った人達です。でももっと凄いのは、生きようとする人間の、最後に搾り出てくる、「命の力」です。本当に感動します。

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