エゴン・シーレ展
2023 年 2 月 6 日
エゴンシーレは20代の前半に衝撃を受けて割と夢中になっていた画家
です。ナルシシズムとエロチシズムとアイデンティティー。その渦中
にいるとこの人の何がそれほどまでに引き付けるのか、解らないもの。
いい年をしてと云いますか、今更と云いますか?当時は絵ばかりを眺
めていて本質を理解しないで今日まで来てしまったので上野まで歩き
ました。大雑把に考えると人間の身体や精神が機械に乗っ取られる
局面でエゴンシーレ的なものがもてはやされている。私の20代前半は
テクノが流行り、コンピュータが世界を変えてしまう予感が全世界を
覆いつくしていた。そして今は、そこにAIがある。1870年のパリ万博は
機械産業が大きく労働そのものを変容させようとする展示会でした。
第一次産業革命の渦中に日本の浮世絵文化がヨーロッパを席巻する。
機械化の波に精神を病み始めていたヨーロッパの心に浮世絵という
より「春画」が突き刺さったような気がするのです。極端にデフォ
ルメされた性器。春画に形而上的要素を付け加えたらエゴンシーレの
絵になる気がします。「悲しみの女」のワーリの純粋性。「横たわ
る女」のエーディトの多情性。クリムトも含めてみんなスペイン風
邪で同じ時期に死んでしまった。やはり裸は、風邪をひきやすい。