生きて居れば物語りになる

2017 年 7 月 4 日

先日、日本の人口統計調査の年代別を見ていて気付いたのですが、

60歳まで生きられる人と云うのは大体80%なんです。5人に一人が亡く

なっているのですね。平均寿命が80歳以上なのでみんなそこ位

まで生きるものと思っていました。何で急にそんなことを言い出した

かと云うと、朝の「ひよこ」でイギリス人に対する思い入れを戦争時代の

体験を通して語っているのを見て隣でかみさんがしんみりしている

ので、云ってやったのです。「誰にでも物語はあるよ」生きてさえいれば。

ガッツにもへタレにもそれぞれのドラマはあります。生きていられたと

いうのは、それだけで大きな物語だと思います。

さっきまでの物語になることも出来ないモスルの映像が残っていて

途中でぶっつり断裂させられる人生を考えながら少し癪にさわった

のでした。彼の演技だったのか?、無理やりイギリス人を持ってくる

無理筋なのか?でも気持ちはずっと繋がっていて、これはこれで、私の

物語りなのかもしれません。

ドキドキ 青森のカジカ編

2017 年 7 月 3 日

先週、築地の有次に包丁研ぎに出しておいたのを取りに行ったついでに店を

ひやかしていたら、ある店の陳列台の奥の方、氷の上にカジカが1500円で

有ったのでした。35センチぐらいの3.4キロありそうな魚体。顔は見るからに

恐ろしい異形です。どうやって食べるのですか?と聞くと鍋や煮つけが旨いと

云います。かみさんは、「やめろ」と袖を引っ張ります。逡巡を見て取ったのか、

「1000円にするから持って行ってよ」と新聞紙で包み始めます。こうなったら

逃げるわけにはいきません。腹を決めました。夜、冷蔵庫から出して、新聞紙を

剥がしたら、皮が溶け始めていました。まな板の上でご対面、歯並びどうかと

口を明けようしたけど、もし生きていて齧り付かれたら、大変です。コモドドラ

ゴンの様なご面相、エイヤッと覚悟を決めてひっくり返して、みぞおちに

出刃を突き立てます。へっぴり腰のおっかなびっくり、普通の魚は出来るの

ですよ。どんなはらわたが出てくるのか、恐怖が頂点に達した瞬間、喉元から

肛門まで包丁が通りました。鮮やかなオレンジ色の肝臓、白い粒粒の子を

持っています。原色の内臓の美しさにうっとりしながら、腑分けるのでした。

外側爛れて、崩れそうな外見と内面の美しさの対比。遠い昔、蛙の腹に

メスを突き立てた、ドキドキが甦って来ました。煮つけで食べましたが、

淡白で美味しい。カサゴの様な味。幾つになっても初めては面白い。

レコードの復活

2017 年 6 月 30 日

ソニーがアナログレコードの生産を開始すると発表がありました。

2・3年前にCDの売り上げをレコードの売り上げが抜いたという報道が

ありました。その時は、レコードが伸びているのではなく、CDが売れなくなった

のだなと思っていました。写真のプレーヤーは5年ぐらい前に買った、マイクロ

精機の中古品。名機の誉れ高かったモノでしたが、安いのを買ってしまって

しょっちゅう壊れて、修理にばかりお金がかかって、今は廃棄処分待ちの状態。

買った当初は、もうCDは要らないなと思っていたのです。しかしいざLPレコード

を買い始めるとお金かかる掛かる。ジャズの中古の名盤は5・6千円当たり前。

プレスティッジなんか1万円近いものもあります。30枚ぐらい買ったところで、

「やめとけ」「よしなさい」と云う内なる声が・・・・。なんとなく買うのやめた

ところで、プレーヤーも壊れたまんまで、また元のCDに戻ったのでした。

それがこの春、またぞろ、アナログレコードへの関心が高まっていたのでした。

それは、テクニクスのSL-1200Gが半値になってSL-1200GRとして発売と

云う広告が出たからでした。朝日に2ページ見開きの全面広告。5月19日に

発売したはずですが、ここでも動けなかった。だって、半値と云っても15万円

ですもの。レコードは、相変わらず5千円以上。そこに、またまた新たな条件が

加わったのです。リビングのCDプレーヤーがまた壊れたのでした。ソニーの

SA-CDプレーヤー。3回目。もう20年ぐらい使っています。それで、今日の

レコードの生産開始です。2009年がレコード販売枚数が10万枚。これは

多分新品で史上最低の枚数です。それが去年の販売枚数が80万枚。

驚異の復活劇です。これも多分団塊の世代なんでしょうが、若い人たちにも

カセットテープの復活やアイワの復活が有ります。全体的にはアナログに

回帰しだした感じもあります。ある意味、逆のシンギュラリティ、人間が人口知能

や機械の限界を見切った瞬間。いくら便利でも、心地好くなかったり、愉しく

ないのだったら必要なものではありません。最近AIの具体的な大きさ、形が

見えてきた感じもありますが、私たちの五感では対応しきれない。多分、AIが

国家になり、法律になり、役人になります。人類はみな平等。ロボットのお巡り

さん。ところでちょっと吃驚しているのは、割と最近の細かい記憶が無いのです。

きれいさっぱり忘れているのです。細部が無くなっている。困りました、記憶無く

なったら、私自身いなくなっちゃう!

山谷佑介さん

2017 年 6 月 29 日

今月のコマーシャル・フォト、山谷佑介さんの特集です。

2番目の写真集からずっと創らせて頂いているので、もう3年ぐらいになりますで

しょうか?ずっと応援してきた写真家です。3年前に注目すべき新人としてすでに

知る人ぞ知る方でしたし、業界では引っ張りだこになっていたので、遅きに失する

感も無きにしも非ずなのですが。写真を見せてもらい紙の提案をして形を決め、

ずっと自費出版で本を作ってきました。途中で始まった、島田さん、沼田さんとの

コラボ「コンタクトハイジン」もいつも刺激的で楽しい本づくりでした。

今回、インタビューで山谷さんの歩いてきた道の片りんを垣間見ることが出来

ました。お父さんの仕事なんですね。話してて、若いのに如何してこんな事まで

知っているのだろうという事は良くありました。私と同じ空気を吸ってきたような

感想がポンポン出るのです。当時の雑誌を見てないと出てこない見方です。

尖っていて、捻りが効いていて、新しいのです。パンキーで壊しながら作って

いるのです。7月14日から世界デビューです。原宿で写真展、写真集販売。

残念ながら、今回のものは出版元と付き合いのある印刷所での制作でしたが、

あれがちゃんと形になるのだったら何処でも良いです。

去年の個展で作品作りのお手伝いしていた時から、大興奮の作品が満を持して

いよいよ完成です。夜のシリーズ、ノワール、放熱と云いましょうか?

明日から展示の作品を創り始めます。

上へ