審査員奨励賞「未明02」 寸評

2019 年 9 月 12 日 木曜日

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「ポエジィ」のコンセプトでの、詩、散文、写真、絵画作品のアンソロ

ジー。1冊に集う38名の作家ごとに、作品からたちのぼる感覚を、印

刷と云う視覚に見事に、変換させている。異なる本文紙、異なる書体、

異なる印刷がそれぞれに整えられ、小部屋をそっとのぞくような楽しさ

がある。そうした造本は、小口にリズムとなって現れ、凛とした本のた

たずまいを支えている。手に取りページを繰るごとに、心惹かれた作品

だった。(浜田桂子先生評)
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ここでは、形式や技法の異なる様々なテキストとイメージの組み合わせ

である内容に対して、文字種、版面、扉などの限定を最低限の秩序とし

つつも、紙質や印刷技法やタイポグラフィーの変化で、内容中の要素そ

れぞれの特殊性を確保しようとする態度に貫かれている。こういった個

々の内容への敬意に基づく苦労を惜しまぬデザインは、モダニズムの合

理主義的均質化へのささやかな抵抗であろうし、応援すべき姿勢と考え

た。(秋山伸先生評)
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