手に取ってくれるのです。ページを捲ってもくれるのです。
イニュニックの作った選りすぐり、内容は勿論力のある作品ばかりなのです。
展示と販売、見ては頂けました。しかしあまり買っては呉れませんでした。
売り上げは15万位。
スマホをスクロールするように一瞥はしてくれるのですが、購買にまで行きません。
今モノが売れないという現実をまざまざと見せつけられました。今を生きるという
事は、世界を目で認識しながらそれがそのまま観念としての所有するという事なの
かもしれません。ほとんど仮想空間に身を置きながら世界と一体化して入るかのようです。
コミケの場合は、本当に一杯、何万円も何十万円も本を買われていきます。アートや
写真はなぜだめなのでしょうか?女性がとても多い。特に業界の方が多いというのが
特徴です。斬新な切り口や新しいもの、次の流行を探しに来ているような感じもしますが、
でもただ見るだけで、いろんな印象を頭に焼き付けているのでしょうか?
SNSは、人生をイベント化しました。常に発信できる経験を探します。ある経済評論家が
「飛行機は満席なのに自動車は売れない。」どうしてなんだろうとトボケタこと言います。
車はケの道具ですが、飛行機はハレの乗り物です。人生を彩る乗り物は飛行機です。
最終日に時間間違えて30分遅く会場に入りました。会場に向かう道ですれ違う
人がもうオレンジのビームスの袋を抱えて帰っているのですが、多分彼女らは入り口
付近で写真撮って終りなのだと思います。アートブックフェア―に来ている私をFBで
発信して終りなのです。コミケの男の人は、本を買い所有します。コミケの女の人は
コスプレして会場そのものを所有してイベント化します。古来、男は自分に欠けた
モノをせっせと所有し、女は女になって行く過程で世界そのものを所有してしまう。
女性に物は要らないのです。しかし、ホントの意味での所有とは自分の身の回りに
置く事で、いつでも作品世界と共鳴し合い、作品そのものを身体化することです。
誰かの作品を身体化することによって、新しい何かが自分の中から生まれるのだと
思います。買わないで見ているだけでは、自分の中に蓄積がない。蓄積がないと
何も生まれない。今回、いろんな勉強になりました。来年は、戦略シッカリ立てて
挑みたいと思っています。しかし、一番売れていたのが外の軽食、ビール、ワイン
コーナーだったのです。1合でビールが500円から800円、ワインが6勺位で
800円。食べ物もべらぼうに高くて、このイベントで一番儲けたのは、ココの人達
だろうな思いました。来年は「味ノマチダヤ」とフランス料理の「ハルナ」と組んで
イニュニックここに店出そうかなと考えています。