尾仲浩二 またたび 2
2014 年 10 月 28 日 火曜日写真集 MATATABI-2 SHORT TRIP AGAIN
前回の「LUCKY CAT」もそうなのですが、どうしてこんなに
懐かしいのでしょうと聞いたことがあります。尾仲さんは単純に
同じような風景を見て来ただけでしょうと仰います。
確かに同じような道を歩いてきています。同じ福岡県が本籍ちで
小学2年生、3年生で生まれた町を離れて、父親が同じ鉄鋼業に
従事していた。尾仲さんのお父さんは新日鉄の正社員で、うちの
父はあんこを引き連れて全国の溶鉱炉を組み立てる派遣業の
親父でした。そんな親の元で同じような風景を見て、同じような
場末であきらめ切れない夢を温め続けていたようなのです。
高2の夏休みのアルバイトで身体中刺青だらけの鳶の人たちと
一緒に風呂に入っていたのは新日鉄の新しい君津工場で、
その3年後に尾仲さんはそこで働き始めます。
尾仲さんがせいだか泡立ち草というシリーズをずっと続けてきた
その草は、君津で水島で堺で広い敷地のそこここに見ていた
花なのでした。
懐かしいという感情だけに収まらないある場所にそれらの写真は、
連れて行ってくれる。やっぱりそれは、必死だったにしろ剥き出しの
感情がぶつかり合っていたにしろ、それを楽しんだり、面白がって
いる自分がいた場所なんだと思います。
尾仲浩二写真展 10月29日~11月2日
宮崎県立美術館県民ギャラリー2