パラレリズモ
2011 年 9 月 10 日 土曜日パラレリズモ、1枚の写真の中に複数の視点。または複数の時間。
通常のパノラマ写真は、視点を固定してそこを中心にしてカメラをパンして
撮影されますが、パラレリズモは撮影視点を移動しながら撮影されます。
道に面した建物を道沿いに移動しながら何枚も撮影しそれを組み合わせて
一枚の写真にします。原稿を拝見したときには、初めてみるその手法に
吃驚してしまいました。このような写真は初めてです。
パラレリズムというのは、二つ以上の事柄などを言うときは、その対比や
説明は統一されてなければならないということですが、なるほど今回の
写真集の題材も、様式を統一したような街並みが写されています。
イタリアのバルレッタ、新宿の思いで横丁、京都の町屋、伊根の舟屋、
新宿のゴールデン街等。何十件がちゃんと並列にちゃんと正面から
撮られています。この平等さがパラレリズムの基本ではあるのですが、
そのような比較検討を超えてしまうものが全体から立ち上がってきます。
前は建築を勉強されていて、その学術的資料としてこのような手法を
思いついたとのお話ですが、視点を増やすことによって時間が入って
来ることになるのか、人が写っていないから静かなのか、まるで江戸時代の
風俗図屏風の絵のような明るい乾きがあります。
久々に興奮を覚えた写真集でした。