一つのテーマ

2011 年 6 月 9 日 木曜日

 先日新聞を読んでいると、本のお話でひとつの主題を決めていろんな

作家さんがそれぞれに同じテーマで小説を書くと云う試みがあるそうです。

同じテーマと云っても設定や時代や切り口などはみんな違うでしょうから、

てんでばらばらの話なのでしょう。それにしてもそれぞれの作家の力量が

問われるに違いありません。官能小説なんてアンソロジーは、今までいくら

でもあったし、テーマが広すぎます。とても狭い、ピンポイントの設定であり

ながら普遍性を感じさせるテーマが必要だと思います。

鈴木おさむさんの一つのテーマについて考える「考えるラジオ」や雑誌など

でもテーマをひとつ決めて、いろんな切り口で見せていく試みも良く目にします。

ネットがあらゆる情報を四方八方、広く浅くいくらでも広げていくことができる

メディアなのに対して編集力と云う力が発揮できるアナログ媒体としましては

唯一面白みを出せる方法でしょう。

本屋さんで立ち読みして回るコーナーは、小説、評論、芸術、写真、あとは雑誌と

いつも同じパターンなのですが、先日たまたま料理の本のコーナーに行ったら、

こちらでも、ワンテーマのリトルブックが一杯ありました。

「チキンラーメンの本」「卵がけごはんの本」「納豆大博覧会」

 「あっ、納豆の本だ。」って勢いで買ってしまいましたが、これは全国

有名納豆のカタログ本みたいなものでした。納豆料理の数々や、

納豆にまつわる糸引く人情話など、もう少し納豆の本質的な奥儀を

極めたような本が良いなと思います。

20年前アメリカで大豆が余ったのでソイインキを作って、環境にやさしい

印刷をしましょうと云うムーブメントがありました。イニュニックもころりと

だまされて、「そうだ、ソイインキだ」と早速植物性インキを買って使って

いました。当時は、オランダのファンソンからメガマジックと云うソイインキが

出ていて30オンスぐらいで墨が4500円ぐらい。普通の国産のインキが

キロ1100円でしたのでまったくもって商売にならず、あえ無く撤退した経緯が

あります。今、アメリカの大豆はアルコールを作ったほうが儲かるらしく、

ソイインキは、造らなくなってしまいましたし、アメリカ大豆協会が発行していた

ソイインキマークは、廃止しております。現在は、ほとんどの国産メーカーは

良質の植物性インキを作っていますので、イニュニックでもすべて植物性

インキを使っております。しかしそれにしても使用済み核燃料が出てきた時点で

環境と云う言葉が空虚になってしまいます。

話がそれましたが、納豆ほど体に良くて美味い食べ物を私は知りません。

宮城県の「川口納豆」。もう10年以上納豆と云えばこれだけです。1週間に

3・4個食べているので、被災されたと聞いた時には、本当に心配しましたが

すぐに復旧されたので安心しました。

朝、お腹を空かせ味噌汁の香りが漂う中で、納豆をぐるぐるかき混ぜながら

「今日は、どんな本と出合えるのかな」と考える。 

こんな幸せな事はありません。

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